試作機登場年
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1996年 |
製造数
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38機 |
運用開始年
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1997年 |
使用国
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日本 |
全長
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13.4m |
最大速度
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278km/h |
全幅
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11.6m |
航続距離
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約540km |
全高
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3.8m |
乗員
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乗員:2名 |
OH−1は陸上自衛隊の観測ヘリコプターで、OH−6Dの後継機として川崎重工が開発した純国産機である。愛称は「ニンジャ。観測ヘリコプターは偵察活動を主な任務とする。機動性が高く、なおかつ空中で静止できるヘリコプターは敵状視察にも重宝されるというわけだ。OH−1もコックピットの上部に赤外線センサー、可視カラーTV、レーザー測距装置を一体化した索敵サイトを搭載しており、敵地上部隊の状況を昼夜を問わず探知、識知できる。また索敵サイトをローター直下、機体の中でも高い位置に設置したことで、稜線から索敵サイトだけを露出させながら、つまり身を隠しながら敵の動向を探るような芸当もできるようになった。
武装として自衛用に空対空ミサイルを左右4発ずつ搭載しており、敵ヘリコプターに発見された際にも対処し得る術を持っている。観測ヘリコプターは基本的に戦闘は考慮されていないので、敵地上部隊に対する武装は設定されていない。ただし、その代わりにコックピットをタンデム配置(座席を前後に配置する)にすることでRCS(レーダー反射断面積)を抑え、敵に発見され辛いようにするとともに、コックピットに防弾化を施して乗員の生存性を高めている。
OH−1について語るならば、その技術面は決して外せないテーマである。純国産というポイントに加え、「ヘリコプター界のノーベル賞とも言われる米ハワード・ヒューズ賞を米国以外のプロジェクトで初めて受賞した機体なのである。これはヒンジレス・ローターシステム――複合材を用いた無間接のローター。従来の機体よりも高い機動性を得られる――の設計を高く評価されたものであり、またこの設計により宙返りやロール機動など驚異的なアクロバット機動を実現している。動画であればお伝えし易いのだろうが、とにかく、おかしいのである。もし外国人に「忍者はどこにいるんだ?と聞かれたら、「イッツァカワサキと答えよう。
このような高い性能を有するOH−1は、偵察(観測)ヘリコプターというジャンルにおいては世界最高水準の機体である、と言っても決して過大評価ではないだろう。もっとも、その価格面においても世界最高水準であり、非常に高い機体価格が災いして100余機のOH−6D全てを置き換えるには至らず、34機で調達を終えた。しかしながら、現在、川崎重工がOH−1を改造母機として新たな多用途ヘリコプターを開発中であり、OH−1から始まった純国産ヘリコプターの血は受け継がれつつある。
(解説:鯛風雲)