87式偵察警戒車「ブラックアイ」
戦車教導隊の87式偵察警戒車。
(写真:東富士演習場/撮影:鯛風雲)
●基本データ
登場:1983年(試作車)重量:44t
全長:5.99m
全幅:2.48m
全高:2.80m
乗員:5人
●解説
陸上自衛隊が保有する偵察戦闘車。製作は小松製作所が担当し、1987年に制式採用。全国の偵察隊や普通科の本部管理中隊に配備され、偵察任務に従事している。愛称は「ブラックアイ」。偵察には大きく分けて2種類の方法がある。一つは気付かれないように敵地に侵入し敵に関する情報を収集する隠密偵察、もう一つはあえて敵部隊と小規模な戦闘を行うことで敵勢力の実状を把握する威力偵察である。陸上自衛隊では偵察といえば偵察用バイクやジープなど貧弱な装備しか保有しておらず、もっぱら隠密偵察に限られていた。そこで隊員の安全を確保し、かつ威力偵察も行えるよう車両を、と開発されたのが本型である。
本型の特徴である車体上面に装備されたエリコン社製25mm機関砲も後者、威力偵察でその本領を発揮する。弾薬は徹甲弾と榴弾の2種類を切り替えられ、状況によって使い分けが可能である。砲塔上には操縦手用及び砲手用の微光暗視装置を搭載し、悪条件下の行動も円滑にしている。また車体後部にはTVカメラを装備し、後方偵察員が車内のモニターから操作する仕組みとなっている。」
車体の足回りは同じ小松製作所製の82式指揮通信車と共通部品を採用しているが車体価格は約3億円とこの手の車両にしては非常に高価である。もっとも、納入先が自衛隊に限り、かつ偵察用という少数配備を考えると当然の価格であるとも言える。
●ギャラリー
車体側面の様子。
(写真:練馬駐屯地/撮影:鯛風雲)