城の見方ガイド(4) 天守の形〜望楼型&層塔型〜
○形による2つの違い
最初に2つの写真を見比べてください。最初が犬山城、次が宇和島城です。そして、犬山城天守みたいな形を望楼型、宇和島城天守のような形を層塔型と分類しています。さて、どのような違いがあるかお気づきでしょうか。
望楼型というのは、上層部と下層部の形が違っていて、具体的には入母屋造の下層部の上に、物見櫓(ちいさな望楼)が乗っているようなスタイルの天守です。また、天守の一つの特徴である破風(はふ)が必ず出来ます(破風については、また今度紹介しますが、ここでは三角形の部分とでも考えてください。犬山城の場合は唐破風といって、中央が弓なり状にせりあがっているものが付いています)。
さらに、関ヶ原の戦いを境に流行が変化したようで、望楼型は初期望楼と後期望楼に区分されます。
初期望楼は屋根の逓減率が大きく、望楼部分が小さく造られているのが特徴で、先ほどの犬山城天守のほか、福井県の丸岡城天守(上写真)も該当します。
一方、後期望楼は屋根の逓減率(ていげんりつ)が小さくなり、望楼部分の物見の要素が減少した形。まあ、初期よりも上の部分が大きくなったとでも考えればシンプルでしょうか。上写真の彦根城天守が良い例ですね。・・・と書いてはみたものの、正直私には良く解りませぬ。
さて、このほかに望楼型天守を持つ主な城は次のとおり。
姫路城天守
岡山城天守
備中松山城天守
松江城天守
高知城天守
熊本城天守
○層塔型
これに対し、層塔型は下から上までほぼ一体的な形。元和・寛永年間以降に主流となった型式で、お寺の五重塔を想像していただけると解りやすいと思います。上に行くにつれて平面規模が逓減、つまり少しずつ小さくなり、最上重の屋根だけを入母屋造としています。代表例は先ほどの宇和島城のほか、次のとおり。
弘前城天守
名古屋城天守
和歌山城天守
松山城天守