○久留里線、小湊鉄道、いすみ鉄道の旅(千葉県)/撮影日:2007年5月4日(金)
 本日は喜多見枝幸氏と房総半島の旅へ。JR久留里線、小湊鉄道、いすみ鉄道を乗り継いでまいりました。
 まずは東京駅から京葉線〜内房線の特急「さざなみ」に乗車し、木更津駅で下車。ここで久留里線に乗り換えますが、ちょっとだけ時間があったので、駅前散策。

 木更津駅から徒歩10分のところには、証誠寺の狸ばやしでお馴染みの、證誠寺が。なるほど、ここがその舞台だったとは。證誠寺の狸ばやしは、野口雨情作詞、中山晋平作曲の童謡で全国的にヒットし、なぜか山口県で高校生活をしていたときの所長も、高校の運動会で変な振り付けで踊らされ、そのときは何のことかわかりませんでしたが・・・。

 童謡の元になった伝説はこうです。
 ある秋の夜、證誠寺の和尚さんが目を覚ますと、庭のほうが明るく騒がしい。見てみると、大小10匹の狸が
 證誠寺山のペンペコペン
 俺等の友達やドンドコドン
 と、輪になり、腹を叩いて踊っていました。和尚さんも楽しくなって、それから毎晩踊っていたのですが、ある日狸たちが姿を消してしまいました。探してみると、狸たちが腹を叩き破ってしまい亡くなっていたのでした。

 それを可哀想に思った和尚さんは、塚を作って手厚く葬ってあげた、というわけです。
 ちなみに、お寺の名前は「證誠寺」。童謡に登場する寺は「証城寺」だそうです。建前上は、架空の寺院だそうで。どうしてそういうことにしたのかは、諸説あるそうです。お寺から和尚様をバカにするな、という抗議があった説もありますが、い

 さて、童謡の元ネタにすっかり感動していたら、肝心の久留里線に間に合わなくなりそうです。あわてて駅へ引き返しました。

 さて、それではいよいよ久留里線へ乗車します。

 久留里線は単線のため、まず横田駅で反対方向から来る列車と待ち合わせ。その間に、写真を1枚。
 いやあ、それにしても実に天気がいい。

 小櫃駅で途中下車。蒸気機関車C12が保存されている以外には、とくに見所はありませんが、ボケ〜っとしているのも気持ちが良いもので、そのC12を撮影するのを忘れた所長でした。

 そして、今まで乗ってきた列車とは反対方向、すなわち木更津行きの列車に乗って、馬来田駅に戻って下車。
 こちらは木造駅舎が実に良い味を出してくれています。

 ところが、実は馬来田駅は久留里線一番のハイテク駅に変化しつつあります。
 駅舎内には、液晶ディスプレイによる運行案内が設置。

 さらに、駅ホームにもLED表示による列車の位置案内装置が設置されていました。


 そして、久留里駅方面の列車に乗り、再び終点に向けて移動開始。
 田植えの終わったばかりの水田風景を見ながら進みます。


 木更津を除けば、沿線でもっともにぎわっている久留里駅で下車。駅は、昔ながらのこじんまりとしたものです。

 かつては城下町であった久留里。商店街には久留里城模擬天守閣をイメージした、こんなものが・・・。

 また、昔ながらの建物もいくつか残っています。

 さあ、それではいよいよ終点の上総亀山へ。(写真は久留里駅にて)

 久留里を出ると、沿線は益々ローカル色たっぷりの山間の風景に。

 そして旅情を誘う終点の上総亀山駅へ到着。本来は外房線の大原駅まで延長するはずだったのですが、実現せず、上総亀山駅から延びるレールは、ここまで・・・。

 ここから木更津駅に向けて折り返しますが、ちょっと時間があったので、足を伸ばして亀山ダムによる人造湖、亀山湖を見てきました。

 そして内房線の五井駅へ行き、ここから小湊鉄道に乗車。
 旧型のディーゼルカー・・・なれど、一見すると綺麗な車両の久留里線と異なり、運転本数は格段に多く、またしっかり冷房も入ってます。しかも、GWということもあって終点近くの養老渓谷へ行く乗客が多く、この日は4両編成もバンバン運転。それでも、乗客は減少の一途をたどっているようです。

 沿線のちょっとした難読名駅、海士有木駅。言われてみれば、「あまありき」でもいいような気もしますが、すぐには読めませんし、覚えられません。

 久留里線と異なり、小湊鉄道は意外と沿線がにぎわい、多くの車が行きかう道路を横目にしながら進みます。

 そして、上総牛久駅で途中下車します。これもまた良い駅舎!!

 ちなみにこの上総牛久駅近くで、581系食堂車の廃車体を発見(列車内からも見えます)。撮影に向かいます。
 サシ581−32だそうで、カラオケ店に転用されたものの、老朽化著しく、放置されてしまったようです。全国各地で、一時はこうした鉄道車両を利用した店が流行りましたが、長続きしませんね。特に、めくれた屋根が痛々しい・・・でも発見できたのはちょっと嬉しい(笑)。 *注:現在は解体されて現存しません。

 上総牛久駅にて。養老渓谷方面から五井駅に向かう列車。我々は、この列車と逆方向、養老渓谷経由で終点の上総中野へ向かいます。

 小湊鉄道は、起点の五井駅から上総牛久駅までは意外と住宅街の中を進むのですが、そこから終点の上総中野まではローカル色が非常に強まります。ちなみに、車両はかなりのフルパワーでぶっ飛ばしてくれます。

 そして上総中野駅で、いすみ鉄道に乗り換え。元々4両でかなりの人数を運んできた小湊鉄道に対し、こちら1両。さすがに満員でございました。ただ、残念なことに地元の利用が殆ど無く、途中の大多喜までは1人か2人乗ってきたかどうか・・・。存続か廃止か、次第に表面化してきていますが、地元が利用しないことにはどうしようもありません。

 とは言え、沿線はしばらくこんな風景が続き・・・。沿線人口もさすがに少なく、活性化もちょっと厳しいか。
 旅行者としては、なかなか魅力的な風景ですね。

 さて、大多喜でいったん下車。こちらは徳川四天王の一人、本多忠勝の城下町として発展したところで、最近では古い町並みを保存、PRしつつあるようです。駅からすぐの場所にあるので観光は非常に簡単!

 国指定重要文化財「渡辺家住宅」。

 また、学校用地となりながらも城跡は残り、模擬天守閣のほか、現在も薬医門(千葉県指定文化財)が現存しています。

 そして終点の大原駅に到着し、特急「わかしお」に乗り換え、東京へ戻りました。
 大多喜で1時間ほど観光した以外は、殆ど列車に乗ってばかりでしたが(笑)、それはそれでなかなか楽しいもの。
 ぜひ皆さんも、魅力的な房総半島の3つの鉄道路線を堪能してみてください。