ED76形
JR九州のED76形0番台。九州内の寝台特急をけん引し、赤色のJRマークが特徴だった。
(写真:鹿児島本線 遠賀川駅/撮影:リン)
●基本データ
デビュー年:1963(昭和38)年保有会社:JR貨物/元・保有会社:国鉄、JR九州
●現在は九州の貨物牽引機として活躍中
1965(昭和40)年登場。ED75をベースとした交流用電気機関車で、0番台は94両が日立、三菱、東芝で製造された。なお、重連総括制御装置は搭載していないため、前面はED75とは異なりEF81と同様の非貫通型となっているほか、SGを搭載した関係で車体が長くなった。また、軸重可変機能。中間台車の空気バネの内圧(空気圧力)の調整によって動輪の軸重を14tから16.8tまで変化させられるもので、これによって軸重制限のあるローカル線でも走行可能となった。
1968(昭和43)年からは北海道向けの500番台が登場し、22両が製造。ED75形のような外観で前面に貫通扉を持ち、車体長は0番台と後述する1000番台よりも1m長い18.4m。また、大容量 SG 搭載に伴う水と灯油タンクの大型化等が特徴である。なお、514号機は青函トンネルで活躍するED79形の補機として仕様をED79形に合わせる形に改造。551号機となった。
1970(昭和45)年には1000番台が登場。九州内での高速旅客、貨物用として0番台を基本に、電磁ブレーキ指令装置、連結用電話回路、応速度編成増圧ブレーキ装置などを搭載し、23両が製造された。JRが発足すると、当時活躍していた全18両がJR貨物に承継されている。
国鉄分割民営化後は、JR北海道、JR九州とJR貨物が保有していたが、500番台は1994(平成6)年に551号機を残して全廃。551号機も2001(平成13)年に廃車され、JR北海道からED76形が引退した。また、JR九州からは2009(平成21)年3月14日改正で寝台特急「富士・はやぶさ」が廃止されたことにより定期運用を失い、2012(平成24)年に廃車されている。
現在、JR貨物が0番台、1000番台の双方を九州内で運用している。また、ED76 505が三笠鉄道記念館(北海道三笠市)、ED76 509が小樽市総合博物館(北海道小樽市)、ED76 1カットモデルが九州鉄道記念館(福岡県北九州市門司区)、ED76 91が日田天領水の里 元氣の駅(大分県日田市)で保存されている。
●バリエーション
右はJR貨物発足初期の1987(昭和62)年に登場した、ブルーのツートンカラー。九州地区のED76と、EF81に塗られた。現在は存在していない。
(写真:鹿児島本線 博多駅/撮影:もこてん ※禁転載)
北海道で活躍した500番台。
(写真:函館本線 札幌駅/撮影:ひょん君)
ED76形1000番台。JR貨物保有機のうち、更新工事施行機は側面に白帯を入れ識別している。
(写真:鹿児島本線 スペースワールド駅/撮影:リン)
ED76形1000番台。2016(平成28)年の熊本地震に際し、「がんばろう九州」のステッカーが掲出された。
(写真:長崎本線 鍋島駅/撮影:ひょん君)
●保存車両
ED76 1は運転台周辺がカットモデルとなり、九州鉄道記念館(福岡県北九州市門司区)で保存。
(撮影:裏辺金好)
ED76 91は日田天領水の里 元氣の駅(大分県日田市)で保存。機器室はモーターなど一切が撤去され、「富士」の歴史を紹介するコーナーになっている。
(撮影:リン)
ED76 505は三笠鉄道記念館(北海道三笠市)で保存。
(撮影:裏辺金好)
ED76 509は小樽市総合博物館(北海道小樽市)で保存。
(撮影:裏辺金好)