キハ20系一般形気動車
大糸線で活躍したキハ52形。同線から引退後も3両すべてが静態あるいは動態で残存することになった。
(写真:糸魚川駅/撮影:裏辺金好)
●基本データ
デビュー年:1957(昭和32)年元・保有会社:国鉄、JR北海道、JR東日本、JR西日本(保存車あり)、JR四国、下北交通、弘南鉄道、秋田内陸縦貫鉄道、阿武隈急行、南阿蘇鉄道など
運転区間:ひたちなか海浜鉄道湊線、いすみ鉄道いすみ線
元:運転区間:全国各地
●私鉄で生き残るキハ20、馬力の強さで生き残るキハ52
1957(昭和32)年、キハ17系の後継として製造された一般形気動車。エンジンなどの足回りはキハ17系に似ているが、車体を軽量化の上、大型化した。1966(昭和41)年まで総計1072両が製造され、北海道から九州まで、全国各地で活躍したが、キハ40系や、JR製造の気動車の誕生、非電化区間の減少によって大幅に勢力を縮小。最後までJRで活躍をしたのは、1958(昭和33)年にキハ20の出力アップ版として登場したキハ52形。内燃機関は縦型のDMH17Cを2機搭載したのが特徴で、今でも通用する勾配に強い両運転台車として,勢力を減らしながらも、東北・北陸地区で重宝されていた。しかし2009(平成21)年3月改正でJR東日本からは全車が定期運用を離脱。さらに、2010(平成22)年3月のダイヤ改正でJR西日本の大糸線から定期運用を離脱して、8月まで臨時列車として運転された後に廃車。これを以ってJR線上からは運用を離脱した。
その他、北海道向けに1958(昭和33)年に登場したキハ22形が、津軽鉄道で予備車として残存するほか、ひたちなか海浜鉄道湊線で、私鉄で使用された同型車に混じってキハ20形由来のキハ205が活躍。また、岡山県倉敷市の水島臨海鉄道でもキハ20形が予備車として1両が残存している。
さらに2010(平成22)年12月には、大糸線で活躍したキハ52 125が、千葉県の第三セクター「いすみ鉄道」が取得。朱色+クリーム色のツートンカラーとなり、翌年より本格的に運転を開始した(2014年からは首都圏色で活躍)。
この他にも、過去は島原鉄道など様々な私鉄や第三セクターで活躍していたが、新型車両への置き換えや、鉄道事業の廃止により現存していない。ただし下北交通で活躍したキハ22については、旧大畑駅構内で、保存団体「大畑線キハ85動態保存会」の手により動態保存が行われている。
このほか、北海道の様々な場所でキハ22形が展示されているほか、JR西日本の津山駅にある旧津山扇形機関庫で、大糸線のキハ52 115が展示されている。また、同じく大糸線のキハ52 156が糸魚川駅でレンガ車庫の一部と共に保存されることになった。
また、盛岡地区で引退したキハ52形の一部はミャンマー国鉄へ譲渡されたほか、新潟地区で引退したキハ52形はフィリピン国鉄に譲渡され、使用されている。
●車内
JR東日本の新津運輸区所属キハ52形の車内。
(撮影:裏辺金好)
水島臨海鉄道所属キハ20形の車内。
(撮影:リン)
●キハ20系バリエーション一覧
国鉄色ツートンカラーのキハ52形。上写真は大糸線から、いすみ鉄道に転じた車両。
2014年からは首都圏色に塗られているため現在、同線では見られない。
(写真:いすみ鉄道 大多喜駅/撮影:裏辺金好)
1996(平成8)年に水島臨海鉄道から転じた、ひたちなか海浜鉄道のキハ205。
国鉄色ツートンカラーに塗られている。
(写真:湊線 那珂湊駅/撮影:裏辺金好)
水島臨海鉄道キハ200形。国鉄色ツートンカラーであるが、いすみ鉄道キハ52形と比べると若干塗り分けと異なる。
2014(平成26)年5月12日からキハ37形・キハ38形にバトンタッチし、1両が予備車として残存している。
(写真:水島臨海鉄道 弥生駅/撮影:リン)
国鉄末期に近づくと、塗装の合理化によって朱色一色へ。それもJR化後に消滅していたが、近年になって大糸線のキハ52形で復活。 現在は、いすみ鉄道キハ52形に塗られている。
(写真;大糸線 糸魚川駅/撮影:デューク)
ひたちなか海浜鉄道で静態保存されているキハ203。
鹿島臨海鉄道で活躍していた頃に角型ライトに交換されているため、独特な雰囲気。
(写真:湊線 那珂湊駅/撮影:裏辺金好)
1958年度落成車まで採用されていた旧国鉄気動車色(黄褐色2号・青3号のツートンカラー)。大糸線のキハ52形で「再現」されている。
(写真:大糸線 糸魚川駅/撮影:裏辺金好)
小型の2重窓、デッキタイプの客室が特徴の、北海道、東北地区向けのキハ22形。写真は、青森県の大湊線でも使用されたキハ22で、白帯が貼られているのが特徴。なお、ヘッドマークとして「さよなら国鉄」が掲示されている。現在は見られない塗装。
(写真:大湊線 大湊駅/撮影:daikiti)
盛岡地区の山田線・花輪線用のキハ52。他の一般形気動車と同じく、白い車体に赤いライン。現在は引退し、ミャンマーへ譲渡された。
(写真;花輪線 好摩駅/撮影:裏辺金好)
国鉄末期から採用された新潟地区の塗装。同地区の115系電車に合わせたものだが、115系より長期に見られた。
(写真:羽越本線 新発田駅/撮影:デューク)
長野県の信濃大町と富山県の糸魚川を結ぶ大糸線北部を走るキハ52形のオリジナルカラー。現在は見られない。
(写真;大糸線 糸魚川駅/撮影:デューク)
水島臨海鉄道鉄道オリジナルカラーに塗られたキハ200形。
(写真:倉敷貨物ターミナル駅/撮影:裏辺金好)
今は無き九州色のキハ52。現在では引退している。
(撮影:上山田線 飯塚駅/撮影:AC20kV-DC1500V )
赤帯が大胆に塗られた島原鉄道の標準色。写真は2018。現在は見られない。
(写真:南島原駅 *許可を得て撮影/撮影:リン)
津軽鉄道キハ22形。JR東日本から譲渡された車両である。
(写真:津軽鉄道線 津軽五所川原駅駅/撮影:リン)
国鉄から黒石線を引き継いだ弘南鉄道が使用したキハ22形。しかし、弘南鉄道黒石線の経営は振るわず、1998年に廃止となりキハ22形もお役後免となった。
(写真;弘南鉄道/撮影:JS3VXW様 禁転載)
主に飯山線で活躍したキハ52。現在はキハ110系投入に伴い、新潟地区へ転属。上写真の塗装に変更されている。
(写真:小海線 野辺山駅/撮影:haru様)
JR四国に所属していたキハ20形は、在籍期間は短かったがJR四国一般色への塗装変更も実施されていた。水島臨海鉄道で部品取り用になっている車両で、現在も見ることができる。
(写真:高松駅/撮影:haru様)
第三セクター、南阿蘇鉄道が開業した際に使用したキハ20。現在は引退して見られない。
(写真;南阿蘇鉄道 高森駅/撮影:JS3VXW様 禁転載)
島原鉄道キハ2006。旧標準色に塗られているが、島原鉄道オリジナル車と異なる場所にナンバーが書かれている。現在は引退。
(写真:南島原駅 *許可を得て撮影/撮影:リン)
島原鉄道自社発注車であるキハ2003。島原鉄道90周年を記念した旧標準色(通称3本ヒゲ)に塗られている。現在は引退。
(写真:南島原駅 *許可を得て撮影/撮影:リン)