キハ35系一般形気動車
キハ35系の代表塗装である首都圏色。JR線上では現在は見られない。
(写真:八高線 高麗川駅/撮影:デューク)
●基本データ
デビュー年:1961(昭和36)年保有会社:関東鉄道、水島臨海鉄道、フィリピン国鉄
元・保有会社:国鉄、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR四国、JR九州、会津鉄道、筑波鉄道など
運転区間:関東鉄道常総線、水島臨海鉄道水島本線(予備車)
元:運転区間:会津鉄道線、弥彦線、越後線、八高線、川越線、久留里線、関西本線、加古川線、和田岬支線、奈良線、草津線、桜井線、紀勢本線、播但線、山口線、美祢線、長崎本線、唐津線、筑肥線、大村線等
●大都市圏でも活躍した通勤形ディーゼルカー
昭和30年代は大都市近郊といえども電化されていない区間が多く、増大する需要に対処するために電化工事の推進より、気動車による列車増発と通勤輸送の改善を行うことになった。それに伴う通勤輸送に対応した車両が、本系列である。101系電車をベースに独特の特徴として、外吊り式の側扉を採用している。また、気動車としては初めてオールロングシート、両開き扉を採用。関西本線(湊町〜奈良)に投入されたのを皮切りに、日本各地に進出。
塗装は登場時はクリームとオレンジだったが、後に朱色一色の通称「首都圏色」に塗られる(ただし、相模線は独自塗装)。JR発足後は、和田岬支線、久留里線用がそれぞれ専用塗装となった。また、房総地方での潮風による塩害対策としてステンレス車体を使った試作型(900番台)も10両誕生。900番台は、八高線、川越線、相模線に転用され活躍したあと1995(平成7)年に引退。しかし、幸いにも1両が碓氷峠鉄道文化村で保存されている。
その他の車両については、2012(平成24)年12月1日に、JR東日本の久留里線で活躍を終えたことにより、全車が運用を離脱した。このとき活躍していた3両のうち、キハ30 62は同じ千葉県の「いすみ鉄道」に譲渡され、現在は国吉駅構内で展示。同社で活躍するキハ28形、キハ52形と離合シーンが見られる。
また、残るキハ30 98、キハ30 100は2013(平成25)年7月に岡山県の水島臨海鉄道に譲渡されている。このうち、キハ30 100が稼働状態にあり、予備車として運用に入っている。
一方、1986年〜1992年にはJR各社などから関東鉄道にも譲渡され、長らく主力車両として活躍。現在でも2両が運用に就いているほか、廃車となった車両の一部はフィリピン国鉄へ譲渡が行われている。この他、今は無き筑波鉄道でも活躍した。さらに会津鉄道に譲渡された車両は、1999年にトロッコ列車用に改造されて活躍していたが、現在は引退して上三寄駅で保存されている。
このほか、わたらせ渓谷鐵道わたらせ渓谷線足尾駅構内でキハ30 35とキハ35 70が、鍛冶屋線鍛冶屋駅跡でキハ30 69が、旧鍛冶屋線市原駅跡「市原鉄道記念館」でキハ30 70とキハ30 72が保存されている。
●キハ35系バリエーション一覧
久留里線標準色(2代目)時代のキハ30形。
(写真:久留里線 横田駅/撮影:裏辺金好)
2009年には久留里線のキハ30形に、国鉄色ツートンカラーが復刻塗装された。2012年12月1日に引退。
(写真:久留里線 横田〜東横田/撮影:リン)
群馬県の碓氷峠鉄道文化村で保存されているキハ35 901。ステンレス車両という意欲的な試作車だった。
(写真:碓氷峠鉄道文化村/撮影:裏辺金好)
非電化時代の相模線で活躍していたキハ30系。最後はオリジナル塗装に塗られていた。先頭に斜めに描かれた車番が特徴。
(写真:相模線某所/撮影:haru様 禁転載)
JR西日本の加古川線、旧鍛冶屋線(現在は廃止)で活躍したキハ35系は、同線の専用色に塗られていた。
鍛冶屋線市原駅記念館でキハ30形が2両保存されている。なお、塗装は2010(平成22)年に地元住民参加によるイラスト車に変更。
(写真:旧鍛冶屋線 市原駅 *2006年当時の姿/撮影:リン)
九州で活躍したキハ35系は、晩年に同地の標準色に塗られた。
(写真:糸田線 田川後藤寺駅/撮影:AC20kV-DC1500V)
会津鉄道で1999(平成11)年に登場。JR東日本からキハ30系を譲受し、新潟鐵工所でトロッコ用に改造のうえで導入された車両である。
(写真:上三寄駅/撮影:裏辺金好)
関東鉄道で活躍した旧キハ35系(キハ350形)。一部がクリームと朱色の関東鉄道の旧標準色ツートンカラーに変更されている。
(写真:常総線 下館駅/撮影:裏辺金好)
2007年公開の映画パッチギ! LOVE&PEACE用にスカイブルーに塗装変更された関東鉄道のキハ350形。京浜東北線をイメージしたそうだが・・・。
(写真:常総線 水海道車両基地/撮影:裏辺金好)
関東鉄道で譲渡されたキハ30系のうち、水海道〜下館間のワンマン運転用に改造した、両運転台の車両(キハ100形)。101号は2007年から首都圏色こと、国鉄時代の朱色1色に塗られている。
(写真:常総線 水海道駅付近/撮影:裏辺金好)
関東鉄道キハ100形102号は2001年から常総筑波鉄道時代の塗装に塗られている。
(写真:常総線 下館駅/撮影:裏辺金好)
兵庫県の和田岬支線で活躍していた頃のキクハ35。現在は電化されて引退したが、最後まで通勤輸送に活躍した。ホームのない反対側の扉が2カ所撤去されているのが特徴だった。
(写真:和田岬支線/撮影:雑多な写真展 禁転載)