HC85系特急形気動車
試験走行車であるD1編成。
(写真:特急ひだ 岐阜駅/撮影:裏辺金好)
●基本データ
デビュー年:【試験走行車】2019(令和3)年、【量産車】2022(令和4)年保有会社:JR東海
最高速度:120km/h
使用列車:ひだ、南紀
運行区間:東海道本線、高山本線、関西本線、伊勢鉄道線、紀勢本線
●ハイブリッド方式の鉄道車両として国内初の最高速度120km/hを実現
JR東海発足初期に投入された、キハ85系特急形気動車を置き換えるために開発された車両で、JR東海初のハイブリッド車両。型式のHCは、エンジンで発電した電力と蓄電池の電力とを組み合わせ、モーターを回して走行する“ Hybrid Car(ハイブリッド方式の車両) ”の頭文字から採られている。編成は4両編成(うちグリーン車1両)、4両編成(普通車のみ)、2両編成(普通車のみ)の3タイプがあり、1両単位で増結を行ったキハ85系と異なり、編成単位で増結を行っている。
車体はステンレス製で、側面はガラス押さえ面の無い大型の連続窓を採用。車内は「和」を表現したデザインで、デッキは木目調、グリーン車は沿線の新緑、美しい川や夕暮れの紫の空をグラデーションで表現し「落ち着いた上質感」、普通車は沿線の紅葉、祭り、花火をグラデーションで表現した鮮やかな「明るいワクワク感」をテーマにしている。また、全席にコンセントを配置している。
動力はシリーズハイブリッド方式を採用し、エンジン/発電機と大容量リチウムイオンバッテリーからの電力でモーターを駆動。制御方式はVVVFインバータ制御で、ハイブリッド方式としては国内で初めて最高速度120km/hでの営業運転が可能である。なお、形式名は従来の「キハ」ではなく、電車同様の「クモロ」「クモハ」「モハ」を採用している。
台車は次世代プラットフォーム“N-QUALIS”シリーズのNS台車を全車両に導入。ツナギばり等、従来溶接接合していた部材をプレス加工で一体成型(母材化)し、重要溶接部を大幅に削減して安全性を向上したほか、タンデム式軸箱支持方式を採用することで乗心地の向上を図っている。さらに、グリーン車についてはセミアクティブダンパを搭載を搭載している。
その他、システム面としては315系電車とともに、在来線車両状態監視システム「DIANA(ディアーナ)」を搭載し、走行中のエンジンのデータを、リアルタイムで地上の車両基地に送信し、状態を把握出来るようにしている。
2022(令和4)年7月1日から特急「ひだ」のうち2往復で営業運転を開始し、2023(令和5)年3月18日改正で「ひだ」全列車を担当するようになった。同年7月1日からは特急「南紀」全列車に投入された。
○車内の様子・細部など
グリーン車の車内。
(撮影:裏辺金好)
普通車の車内。車椅子スペースが3席設定されている。
(撮影:裏辺金好)
キハ85系との並び。
(写真:特急ひだ 高山本線 渚駅/撮影:リン)
ロゴマーク。
(撮影:裏辺金好)
側面の愛称・行先表示
(撮影:裏辺金好)