211系・213系一般形電車


湘南色の帯を巻く211系。211系の前面デザインは常磐線・鹿児島本線の415系1500番台、東北地区の719系、JR四国の6000系にも採用されている。
(写真:東海道本線 国府津駅/撮影:デューク)

●基本データ・運用区間

デビュー年:1986(昭和61)年
保有会社:JR東日本・JR東海・JR西日本/元・保有会社:国鉄、JR東日本
運行区間:上越線、信越本線、篠ノ井線、両毛線、中央本線、東海道本線、御殿場線、身延線、飯田線、関西本線、山陽本線、伯備線、赤穂線、宇野線、愛知環状鉄道線など
元・運行区間:東北本線、高崎線、総武本線、成田線、外房線、内房線、東金線、瀬戸大橋線、予讃線など

●シンプルながら評判のデザイン

 211系は、国鉄末期に老朽化が目立ってきた113系や115系に代わり、大都市輸送でのサービス改善を狙って登場した。車体はステンレスとなり、コストも極力低く抑えられた。一方の213系は、211系の地方版である。すなわち、211系は比較的長編成での運用を目的とするのに対し、213系は1M方式を採用し、2両でも運用可能になっている(もちろん、多少長い編成も組める)。 また、211系の3扉に対し、213系は2扉となっているのも特徴。

 国鉄時代には東海道線東京口へ、211系0番台(セミクロスシート)がグリーン車2両組み込みの10両編成×6本=60両、と2000番台(ロングシート)5両編成×5本=25両、名古屋地区に211系0番台4両編成×2本=8両、岡山地区に213系0番台3両編成×8本=24両が投入されたのを皮切りに、JRが発足した後も各社で投入が続き、中でもJR東海は国鉄時代に投入が無かった213系(5000番台、2両編成)も導入している。

 特筆されるのは東海道本線211系に連結された2階建てのグリーン車及び、2003(平成15)年10月改正で運用を退いた瀬戸大橋線の213系グリーン車の存在だろう。特に瀬戸大橋線用のグリーン車は、ステンレス車体の213系の中で、白色をベースにした明るい車体、桃太郎の登場人物を車体一杯に描いた車体など編成ごとに様々な車両が存在した。

 現在、JR東日本では後継車両の投入が進められた結果、211系は主に高崎・長野地区に配置を集約。運用は少ないものの、都内では立川駅まで入線している。

 JR東海では2022(令和4)年3月から中央本線へ315系を投入を開始し、211系・213系などの置き換えが開始された。これに伴い、さっそく国鉄時代に製造された211系0番台2編成(K51、K52編成)が引退し、JR東海が保有する国鉄時代に製造された車両の全てが消滅している。

 JR西日本の213系は、2003(平成15)年10月1日改正で快速「マリンライナー」運用を5000系・223系に譲り、岡山地区のローカル輸送を担当することになった。これにより3両編成×4本、2両編成×8本に改められ、中間車の先頭車化改造も行われている。

 また、2015(平成27)年までに全車がリニューアル工事を受け、行先表示器のLED化、乗降扉上のLED式の車内案内表示装置設置、トイレの洋式化や車椅子スペースの整備、ドアチャイムの設置等が行われている。

 2016(平成28)年4月には観光車両「La Malle de Bois(ラ・マル・ド・ボァ)」が登場した。C-04編成(2両編成)を観光対応に改造したもので、物販等に対応したサービスカウンターや、サイクルスペースの設置などが行われている。

●バリエーション一覧


2013年7月1日〜12月下旬にかけて運転の「ありがとう高崎線130周年ラッピング車」。両端先頭車の一部の湘南色の面積が拡大し、115系を想起するかのようデザインになっている。
(写真:高崎線 大宮駅/撮影:裏辺金好)

一部余剰となった高崎車両センターの211系は、2006(平成18)年に幕張車両センターに転属。255系やE257系に準じた帯色に変更され、房総地区で運用されていたが、2013(平成25)年3月改正で引退。
(写真:外房線 本千葉駅/撮影:裏辺金好)

東海道線などから運用を離脱した211系は長野総合車両センターに転属。信州色にラインカラーを変更した。
(写真:篠ノ井線 南松本〜平田/撮影:205Turbo16)

2021(令和3)年4月1日に登場した「矢絣(やがすり)柄」のデザイン。高崎車両センター所属の211系A28編成のラインカラーを「両毛線=織物」をイメージし、両毛線ラインカラーである黄色と、沿線の山々をイメージした緑色を用い、織物柄として分かりやすい矢絣柄にしたもので、車内の座席も沿線の市の花をモチーフとしたデザインに変更されている。
(写真:両毛線 小山駅/撮影:裏辺金好)

瀬戸大橋線用に登場した213系だったが、新車に置き換えられ、現在は短編成に改造されて山陽本線などで活躍。
(写真:伯備線 清音〜総社/撮影:リン)


宇野線などで活躍する、La Malle de Bois(ラ・マル・ド・ボァ)。フランス語で「木製の旅行鞄」を意味する列車名の通り、トランクをイメージしたラッピングが施され、車内も片側は外を向いたカウンター席とし床材に桜の木を使用するなどの仕上がりとなっている。
(写真:宇野線 妹尾〜備中簑島/撮影:リン)


2010年に引退したジョイフルトレイン「スーパーサルーンゆめじ」。ちなみに、3両中2両が、JR西日本では唯一の211系という扱い。
(写真:呉線 呉駅/撮影:裏辺金好)

瀬戸大橋線の快速「マリンライナー」用213系に連結されていたグリーン車(クロ212 写真右)。形状は221系とよく似ている。
(写真:吹田工場/撮影:裏辺金好)

こちらも瀬戸大橋線の快速「マリンライナー」用213系。現在では見られない懐かしい姿になってしまった。
(写真:瀬戸大橋線 岡山駅/撮影:裏辺金好)

晩年、桃太郎などが描かれたマリンライナー用213系クロ212。
(写真:瀬戸大橋線 岡山駅/撮影:裏辺金好)

同じく瀬戸大橋線の快速「マリンライナー」用213系。
(写真:瀬戸大橋線 岡山駅/撮影:裏辺金好)

試験車両であるU@techの先頭車として再登場した車両。
(写真:湖西線 永原駅/撮影:リン)

●車内など


JR東日本のクモハ211−1001の車内。なお、JR東海の211系0番台も同様のデザイン。
(撮影:U-lineのA)

JR東日本の211系は、2008年末頃から青系統の座席に変更され始めている。(撮影:Mt.赤城様 禁転載)

JR東日本の211系に連結されていた2階建てグリーン車。写真は1階の様子。(撮影:リン)

シートモケット張り替えと風除け設置が行われた高崎車両センター所属(※H23時点)のクハ210−3037の室内。
(撮影:U-lineのA)

高崎車両センターの211系A28編成「矢絣柄」の車内。座席背面のシートを亀甲柄のマークの中に前橋市、桐生市、栃木市、小山市の市花をモチーフにしたデザインを入れたシートに変更している。
(撮影:裏辺金好)

JR東海の211系車内。
(撮影:裏辺金好)

山陽本線、赤穂線用の213系座席は、転換クロスシートだが上部が2分割されているので223系等とは違った印象
(撮影:裏辺金好)

 赤穂線で使用されている213系。ワンマン改造されていて定番の整理券発行機+LED運賃表+料金箱が設置されている。ただ、他の系統と違って料金箱が運転室後方ではなく、運転室側扉付近まで下げらているので、スペース的にはすごく広い運転室といった雰囲気。
(解説・撮影:うめ吉)

↑ PAGE TOP