273系特急形電車
「やくもブロンズ」色を基調とし、最近では珍しくなった列車名のロゴを随所に掲出。
(写真:伯備線 方谷〜井倉/撮影:リン)
●基本データ
デビュー年:2023(令和5)年 ※営業運転開始は翌年保有会社:JR西日本
最高速度:120km/h
使用列車:やくも
運行区間:山陽本線、伯備線、山陰本線
●特急「やくも」用の振り子方式特急電車
JR西日本が1982(昭和57)年から特急「やくも」で運用する381系を置き換えるために投入した特急形電車で、近畿車輛で4両編成×11本=44両が製造。JR西日本・鉄道総合技術研究所・川崎車両が開発した国内初となる「車上型の制御付自然振り子方式」を採用し、キハ187系など従来の制御付自然振り子方式よりも、乗り物酔い評価指数で最大23パーセントを改善している。また、制御装置はVVVFインバータ制御を採用。
デザインは川西康之と近畿車輛デザイン室が監修。エクステリアコンセプトは「山陰・伯備線の風景に響き、自然に映える車体」で、鬱金(うこん)色・黄金色・赤銅色などを取り入れた「やくもブロンズ」を基調とした、メタリック風味の外観が特徴。
また、インテリアコンセプトは「山陰の我が家のようにくつろげる、温もりのある車内」で、1号車は半室構造のグリーン車(1+2列で、座席モケットは富と長寿の象徴とされる亀の甲羅をイメージした「積石亀甲」模様をデザイン)に加え、普通車指定席のセミコンパートメントを設けており、この区画は簡単な仕切りとテーブル付きのボックスシートとなっているのが特徴で、座面をスライドさせると、フラットなスペースとなる。
また、2〜4号車は全車普通車となっており、座席モケットは沿線の山々をイメージした緑色をベースに、魔除けの意味がある「麻の葉」の模様をあしらっている。その他、車内設備として車内Wi-Fi、全席コンセント、大型荷物スペースを有している。
その他、車内チャイムに、特急「やくも」沿線の松江市で結成されたバンド「Official髭男dism」の楽曲が採用されており、上り列車では『Pretender』、下り列車では『I LOVE...』が流れるほか、行先表示器では愛称表示にキハ181系、381系のトレインマークを表示することも可能となっている。
2024(令和6)年4月6日に特急「やくも」での定期運用を開始し、同年6月15日に381系特急「やくも」の定期運用をすべて置き換えた。