富士山麓電気鉄道モ1形
パンタグラフは本来2基あったが、上田交通時代の1基のまま。
(写真:河口湖駅前/撮影:裏辺金好)
●基本データ
デビュー年:1929(昭和4)年●河口湖駅前に正式保存された歴史的車両
富士急行の前身である富士山麓電気鉄道が、開業時に投入した車両で、モ1号〜モ5号までの5両が誕生した。車体長15m級、両運転台構造の半鋼製の2軸ボギー制御電動客車で、電気ブレーキの装備など、富士山に向かう急勾配路線に対応した、当時としては画期的な電車。のち、モ1形からモハ1形に改番され、さらにモハ7号、モハ8号が1931(昭和6)年に増備。
1950年代に一部がモハ500形に改番され、車体を日本車輌製の17m級のものへ取替え。旧来の車体は上田丸子電鉄(→上田交通→上田電鉄)に譲渡された。さらに1961(昭和36)年に再改造が行われ、一部は前面を貫通扉構造へ変更し、片運転台車両も登場。両運転台車モハ3600形、片運転台車モハ3630形となった。そして、1994年に事業用として残っていた車両が廃車となったことで、全車が引退した。
なお、モハ7号、モハ8号は1952(昭和27)年、1953年(昭和28)年に荷物電車モニ100形となり、こちらは改造されなかったが、1982(昭和57)年に廃車となった。
しかし、富士急行創立60周年を記念し、上田交通(当時)に残っていたモハ1号の車体を引き取り復元。しばらく河口湖駅構内で保管されていたが、2006年よりリニューアルされた河口湖駅前に保存場所を整備。富士急行で記念すべき第1号の、歴史的な車両として多くの観光客の目に触れることになった。
●車内
開業時の姿をイメージした、ぬくもりのある雰囲気。
(撮影:裏辺金好)