近畿日本鉄道モ1000形
(上写真:高安電車区/撮影:札幌人様 禁転載)
●基本データ・運用区間
デビュー年:1929(昭和4)年主な元運転区間:大阪線、奈良線、山田線など
●大阪電気軌道の名脇役
近鉄の前身の1つである、大阪電気軌道(大軌)のデボ1000、1100、1200、1300形は、大軌桜井線(のち近鉄大阪線の一部)と、その子会社である参宮急行電鉄(参急)本線(のちの大阪線、山田線)が全通して相互直通運転を行うことになった際、上本町〜名張間の区間普通列車用として製造された車両である。*なお、参急側は上本町〜宇治山田間の直通急行を受け持ち2200系を投入。
1000形はウェスチングハウス社製主電動機、制御器が採用したのが特徴で、1100形以降は国産機器を採用。また、1000形と1100形が19m級3扉の車体であるのに対し、1200形と1300形は20m級3扉なのが特徴。また、上本町〜布施間では600V電化区間であったため、600Vと1500V双方電圧に対応する設備を備えた複電圧車である。
さらに通勤電車でありながら、1932(昭和7)年に1308号はお召し列車用に改造され、昭和天皇が大阪から橿原神宮へ向かうときに使用された。
1941(昭和16)年に大阪電気軌道と参宮急行電鉄の合併で関西急行鉄道(関急)が誕生すると、形式の記号を「モ」と改め、モ1000形などと改称。近鉄発足後も前照灯などが変更されるなど改造を受けながら使用され続け、1973(昭和48)年に全車が引退した。