近畿日本鉄道2200系
モワ20形となった後の姿。
(上写真:高安電車区/撮影:札幌人様 禁転載)
●基本データ・運用区間
デビュー年:1930(昭和5)年主な元運転区間:大阪線、名古屋線、奈良線、山田線など
●参宮急行電鉄の優等車両
近鉄の前身の1つである、参宮急行電鉄が本線(のちの大阪線、山田線)が全通して、大阪電気軌道(大軌)桜井線(のち近鉄大阪線の一部)と相互直通運転を行うことになった際、上本町〜宇治山田間の直通急行用に製造した車両である。当時としては非常に間隔の広い座席に、トイレも備えており、設計最高速度は110km/hと、車内も走行機器も非常に優れた車両で、1932(昭和7)年には、同じく上本町〜宇治山田間で特急運転も開始している。1939(昭和14)年には、系列会社の関西急行電鉄経由で名古屋に乗り入れるためのマイナーチェンジ車が誕生。張り上げ屋根の採用などデザインの変更、転換クロスシートの装備などの改良が行われた。また、紀元2600年を記念して貴賓車サ2600形が製造され、ソファーとテーブルを配置した客室を備えた。
戦後は近鉄の車両として主に急行列車に充当。1960年代以降は3扉化される車両や、前照灯のシールドビーム化、車内のロングシート化などが行われる車両も登場。老朽化対策を施されながら運用されたが、1981(昭和45)年のモ2237を最後に廃車。一部は荷物電車のモワ20形となり工場の入れ替え車両として活用。これも1990(平成2)年までに全車両が引退しているが、長きに渡って近鉄を支え続けた。