小田急50000形
7000形や10000形のような雰囲気を取り戻しつつも、ライト位置などは従来に無いデザイン。
(写真:小田原線 秦野駅/撮影:裏辺金好 ※以下すべて)
●基本データ
デビュー年:2004(平成16)年元運行区間:小田原線、箱根登山線
●白いロマンスカー、登場。
2005(平成17)年3月19日に営業運転を開始したロマンスカー。連接車としては小田急初の10両編成で、日本車輌製造で2編成が製造された。通称”VSE”=Valut Super Expressで、Vaultとは、アーチ状の天井を意味し、建築家の岡部憲明氏が率いる「岡部憲明アーキテクチャーネットワーク」が車両デザインを担当した。
HiSE車以来久しぶりの前面展望車であり、滑らかな流線形のボディに真っ白な塗装が特徴。また、従来より45cm高い、2.55mの室内高を確保し、さらに簡易振り子(空気圧による車体傾斜)が搭載されている。このほか、小田急連接車初のボルスタレス台車採用など、新しい試みが沢山の車両である。
新宿と箱根湯本の観光輸送に大きな力を発揮し、後継車両が登場する中でも小田急のフラッグシップ車両として高い人気を誇っていたが、車体がアルミ合金押出形材によるダブルスキン構造であることから、車両の経年劣化に伴う車体更新が難しいことや、車体傾斜制御の部品調達が難しいなど主要機器の更新が困難になる見込みから、2022(令和4)年3月12日改正で定期運用を終了。
その後は団体臨時列車して活躍していたが、2023(令和5)年9月24日に第2編成、2023(令和5)年12月10日に第1編成が運転を終了し、全ての運行を終了している。
●引退記念装飾
(写真:箱根登山線 風祭駅)
●車内の様子など
展望席は1号車と10号車の車端に2席+2席×4列=16席ずつ設置。超大型3次元ガラスを使用したフロントガラスが特徴で、センターピラー(窓枠)が無い。
(撮影:裏辺金好 ※以下すべて)
鉄道では当時初の最新オフィスチェア技術「アンクルチルトリクライニング」を取り入れたシートを採用。4mスパンのロングガラスを使用した大型の窓ガラスや、座席の角度を窓の方に5度向けて自然と外に目がいくようになっているのも特徴。
4人定員×3区画(対面式固定座席)のサルーン席。パーテーションガラスで仕切られたプライベート性の高い準個室である。
3号車と8号車に設けられた売店コーナー。
木目調を採用したトイレ周辺
空気駆動式の片引き式プラグドアが採用された側面客用扉。
運転台への階段。
列車愛称・行先表示。
空気ばねと連接台車。