東武鉄道1700系/1720系


カットモデルとなり、車体を半分に切断されて保存されている1720系。
(写真:東武博物館/撮影:裏辺金好)

●基本データ

デビュー年:1956(昭和31)年(1700系) / 1960(昭和35)年(1720系)
元、運行区間:伊勢崎線、日光線、鬼怒川線

●ボンネットスタイルの”デラックス”ロマンスカー

 1700系、1720系は、戦後の東武鉄道を代表する特急用車両で、特に1720系はDRC(デラックスロマンスカー)の愛称を持った車両として就役。浅草〜東武日光の特急「けごん」、鬼怒川方面の特急「きぬ」として運用され、当時、日光輸送で激戦を繰り広げていた国鉄が投入した157系準急「日光」に対抗したものである。

 東武鉄道のホームページによると、1720系は「従来のいかなる特急用電車よりもデラックスな設備」を備えた車両で、シートを従来の水準から大幅にグレードアップし、大柄な外国人観光客の体格に対応したほか、ビュフェやジュークボックスを設置したサロンルームを設置(ただし、後年は客室に改造された)。オール電動車の6両固定編成で、のちに、先に登場していた1700系も車体を更新し、5700系タイプから1720系タイプに改造され、番号はそのままにDRCに編入されている。

 こうして1720系登場後、次第に国鉄は日光輸送を段階的に縮小するようになり、軍配は東武鉄道に上がった(ただし、日光・鬼怒川の観光が不振となるに伴い、現在ではJR東日本と手を組んでいる)。

 1990(平成2)年に後継車両の100系スペーシアが誕生すると、200系への改造が進められて車体を更新。1997(平成9)年に最後の2本が200系へ改造され、1700系と1720系は形式消滅となった。

 なお、最初の1720系である1721Fの先頭車2両が、それぞれ東武博物館と岩槻公園(さいたま市岩槻区)に保存。ただし、東武博物館のモハ1721(浅草方先頭車)は保存スペースの関係でカットモデルとなり、車体を半分に切断。東武鉄道史上に残る、記念すべき車両であるだけに、内部の展示物を見直してでも、何とか1両丸ごと保存できなかったのだろうか。

 また中間車では、群馬県の”わたらせ渓谷鐵道”神戸駅(ごうどえき)に1724号と1725号がレストランとして使用されており、2011(平成23)年1月には東武時代の塗装に戻されている。

●1700系登場時の姿


1720系タイプに改造される前の1700系。冷房装置の搭載など、こちらも特筆すべき車両。
(写真:東武博物館(模型)/撮影:裏辺金好)

●車内の様子


(写真:東武博物館/撮影:裏辺金好)

こちらは運転台。
(写真:東武博物館/撮影:裏辺金好)

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