1986(昭和61)年に福知山線と山陰本線福知山〜城崎間が電化された。これを期に特急「まつかぜ」と急行「だいせん」「丹波」といった列車を特急へと格上げすることになり、登場したのが「北近畿」であった。
車両については、余剰気味になっていた485系を各地からかき集めての運転開始となった。東は勝田、西は南福岡とまさに全国各地からという状態であり、運転開始に際してとくに設備等の統一をはかるような作業は行わなかったため、車両によってカーテン等の設備が微妙に異なっていたケースや、シートのグレード等も違っていたため、車両の配置に苦労したという話もある。
運転開始以後、山陰東部唯一の電車特急として活躍してきたが、平成8年に山陰本線園部〜綾部間の電化を期に運転体系が大きく変わり、ビッグXの愛称を持つことになった。もっとも、「北近畿」自体は大きく変わることはなかった。ただし、ヘッドマークはビッグX共通デザインのヘッドマークに変わった。
「北近畿」は山陰東部の特急としては最も歴史ある列車として運転本数等は他を圧倒していて、ビッグXの主役として君臨していたが、2011(平成23)年3月改正で、一部列車に287系、さらに287系の数が揃うまでのつなぎとして381系国鉄色が投入されるのに合わせて、愛称を「こうのとり」に変更。北近畿としての活躍に終止符を打つことになった。
(上写真:東海道本線 塚本駅/撮影:裏辺金好)