昔々、天女が三保の松原の美しさに見とれて降りたとき、一本の松に天女の羽衣をかけました。すると、三保の村の伯梁という漁師が浜の景色を眺めているとき、その松の枝にかかっている美しい衣を見つけました。伯梁がそれを持って帰ろうとすると、天女が現れて羽衣を返すよう言いました。
しかし、伯梁は大喜びして返す気配を見せません。羽衣がないと天に帰れないと嘆き悲しむ天女を見た伯梁は、天人の舞を見せることを条件に羽衣を返しました。天女は喜んで羽衣をまとって舞を踊りましたが、やがて霧の中へと消えてしまいました。
─というのが三保に伝わる羽衣伝説です。日本各地にある羽衣伝説の中でもっとも有名なものです。
三保の松原は三保半島にある白砂青松の約7キロメートルの海岸線に並んだおよそ5万4本の松林と、駿河湾をはさんで見える富士山や伊豆半島の眺めが美しいことで有名な景勝地。古くは万葉集の中でも詠われていて、日本の白砂青松100選に指定されていて日本新三景、日本三大松原のひとつでもあります。
前述のとおり羽衣伝説の舞台で、羽衣の切れ端が保存されている御穂神社、樹齢650年の羽衣の松があります。ただ、松林の枯れ死の進行が問題となっていて羽衣の松もかなり衰弱しています。上の写真は神の道という三保の松原への入り口で、一直線の道の左右にはたくさんの松が生えています。
(撮影・解説:ロクマルサン様 禁転載)
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