箭弓稲荷神社〜埼玉県東松山市〜


○解説

 東武東上線の東松山駅前にある箭弓稲荷神社(やきゅういなりじんじゃ)は、712(和銅5)年創建と伝わる由緒ある神社。
 1030(朝元3)年に下総国で反乱を起こし、関東一円で猛威を振るった平忠常を討伐するため、朝廷により討伐の任を受けた源頼信が、この地で本陣を張った際に、当時は野久稲荷神社と呼ばれた小さな祠(ほこら)に参拝祈願したところ、
「明け行く空に箭(矢)の形をした白雲がにわかに現れ、その箭は敵を射るかのように飛んで行きました。」(箭弓稲荷神社公式ホームページより)
 とのこと。これは勢いを得た!と奮い立った源頼信は出陣し、平忠常に勝利。戦後、源頼信は立派な社殿を建造し、「箭弓稲荷大明神」として讃えたと伝わっています。以後、近くにある(武蔵)松山城主や、江戸時代には川越藩主などの多くの人々の信仰を集め、江戸時代には隆盛を極めました。

 現在の社殿は、本殿が1715(正徳5)年、幣殿が1811(文化8)年、拝殿が1835(天保6)年の建築で、埼玉県指定有形文化財。本殿を中心とした彫刻が素晴らしく、必見です。また、境内の牡丹園は1923(大正11)年の東上本線(坂戸町〜武州松山/現在の東上線 坂戸〜東松山)が開業した際、東武鉄道社長根津嘉一郎から奉納されたもので、見どころの1つです。

 さらに神社名が「やきゅう」と読むことから、野球の神様としての信仰も集め、埼玉西武ライオンズなどのプロ野球の選手も参拝に訪れます。このため、「バット絵馬」「ベース絵馬」等が頒布されているのはユニークなところです。
(撮影&解説:裏辺金好)

○地図



拝殿の彫刻「三条小鍛治」と「目貫龍」。




本殿地紋彫「入子菱文様」。菱形の中に菱形が入る文様のことを、入子菱(いれこびし)と呼びます。



本殿縁の下持送り彫刻「龍」


本殿花頭窓彫刻「二龍」


本殿縁の下持送り彫刻「獏」


本殿大羽目彫刻「仙人の烏鷺(うろ)」












箭弓稲荷神社 牡丹園








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