南極観測船ふじ〜愛知県名古屋市港区〜
「南極観測船ふじ」は、1965(昭和40)年に登場した2代目の南極観測船で、海上保安庁の「宗谷」から南極観測船としての役割を引き継ぎ、1983(昭和58)年に「しらせ」(初代)に交代するまでの約18年間、海上自衛隊によって運用されました。
艦後部にヘリコプター3機を搭載可能なのが特徴で、シコルスキーS-61(2機)による昭和基地への資材輸送や、ベル47G2A(1機)による氷の状態などの偵察が行われています。
1985(昭和60)年からは、名古屋港ガーデンふ頭に係留され、南極観測に関する博物館として一般公開されています。まるで本物と錯覚するようなリアルな人形が、各部屋でお出迎え。
(撮影:リン/解説:裏辺金好)
○地図
○1F「第1甲板」
食堂・調理室
食堂では幹部を除く約100人が一度に会食可能。博物館として転用された際に机の大部分は撤去されましたが、当時はビッシリ。また、南緯60度付近の暴風圏必ず通るため、机や椅子は固定式でした。展示されている椅子は動きそうですが・・・。
調理室
約240名分食事を調理。火気厳禁なので、蒸気式や電気式の調理器を使っていました。また、アイスクリーム製造機があったほか、新鮮な野菜を提供するため、もやしを栽培していました。
ホイールコンベヤー
倉庫から食堂までつながり、小さな荷物を運搬しました。
第2電信室
酒保
船内唯一の売店。歯ブラシや石鹸、タオルなどの日用品を、1日1時間だけ販売。
第13士官室
○B1F「第2甲板」
医務室
手術も可能な医務室。奥にベッド数3床の病室があります。
理髪室 【理容遺産】
乗務員の中で手先な器用な人間が、事前に訓練を受けて担当。料金は無料で、予約の必要もなかったとか。2017(平成29)年に全国理容生活衛生同業組合連合会が理容遺産に認定。
庶務室
先任海曹寝室
先任海曹(下士官の主だったもの)約10人の寝室で、3段ベッド5台、机2つ、棚、ロッカー、テーブル、トイレ、浴室がありました。
第2居住区
幹部乗組員と先任海曹を除く一般乗組員約105人分の居室で、3段ベッド。このほか、船首に第1居住区があり、こちらは60名分の居室がありました。
航海日課
第12観測隊員室の居室
観測隊員の居室は、2人部屋と4人部屋があり、18室並んでいます。バス、トイレは室外です。
〇2F「格納庫・飛行甲板」
ヘリコプター格納庫は展示室に改造され、「南極の博物館」として様々な展示が行われています。日本最初の雪上車KC20-3S
シコルスキーS-61A