千葉セクション(チバニアン)〜千葉県市原市〜
千葉県市原市の千葉セクション(田淵地磁気逆転地層)は、養老川の沿いに露出した地層で、地質時代のうち、更新世の前期と中期の境界(約77万年前)を示しています。
この時期は、これまでで最後の地球の磁場(N極・S極)の逆転が起きた時期。現在の方位磁石の針はほぼ北を指しますが、当時は針がほぼ南を指していたのです。ちなみに、過去360万年の間に計11回、逆転したと考えられています。
さて、この付近の地層は約77万年前に御嶽山(岐阜県)が噴火した時の火山灰が海底に堆積したものですが、後に房総半島が隆起して地上へ。さらに、養老川の浸食作用によって崖になりました。このため、地層の堆積した当時の環境変動が詳しく解るのが特徴です。
これまで、更新世中期(約77万年前〜12万6千年前)は地質時代の国際標準模式地(GSSP/Global Boundary Stratotype Section and Point)が決定していなかったことから、2017年6月、茨城大学岡田誠教授を代表とする22機関32名からなる研究グループは、千葉セクションがGSSPに認定されるよう、国際地質科学連合(IUGS)の専門部会に提案申請書を提出。
2017年11月にはイタリアの候補地を破り、模式地に選出されました。上位部会と総会にて正式に決定されれば、更新世中期は「チバニアン」(ラテン語で「千葉時代」という意味)という名称となる見込みで、地質時代名称として初めて日本の地名が使われます。国内の任意団体(個人?)が「データをねつ造している!」と疑義を申し出ており、波乱含みではありますが・・・。
余談ですが、更新世中期はネアンデルタール人やマンモスなどが生息した時代の1つです。
(撮影:Mr.K/解説:裏辺金好)
○地図
○風景
最下部の赤の杭の部分が磁場が逆転していた時代(逆磁極帯)の地層。黄色はその中間で磁場が不安定だった時代(磁極遷移帯)の地層です。
緑の杭の部分は、現在と同じ磁場の時代(逆磁極帯)です。
養老川