旧・佐世保無線電信所(針尾送信所)〜長崎県佐世保市〜
旧佐世保無線電信所(針尾送信所)は、日本海軍が1918(大正7)年から1922(大正11)年にかけて建設した送信施設。設計は佐世保鎮守府建築科で、工事監督は吉田直(のぶる)。
日露戦争を契機に、無線連絡体制の強化を目的に計画され、鉄筋コンクリート造の高さ約136m、基底部の直径約12mの煙突のような塔が3本建てられました。工費は1基あたり約30万円(現在の価値で約50億円)で、その力の入れようが分かります。ちなみに、千葉ポートタワーが高さ125m、京都タワーが高さ131mなので、これよりも高いという・・・。
3基の無線塔を一辺300mの正三角形の頂点に配置し、その中心に通信局舎である電信室を半地下式で建設して配置。太平洋戦争開戦の暗号「ニイタカヤマノボレ一二〇八」を送信した電波塔の1つとも云われますが、詳細は不明です。
戦後は一時、米軍が管理しましたが、現在は海上保安庁第七管区海上保安本部が所管しています。
大正期のコンクリート建築ですが非常に精密な施工で、土木史上として重要な存在であるほか、国内現存唯一の長波無線通信施設として、高い歴史的価値が認められます。2013(平成25)年に3基の無線塔、電信室、油庫(ゆこ)の2棟と附属の土地が国の重要文化財に指定されています。
(撮影:リン)
○地図
○風景
無線塔 【国指定重要文化財】
無線塔 【国指定重要文化財】
無線塔 【国指定重要文化財】
電信室 【国指定重要文化財】
油庫 【国指定重要文化財】