遊行寺・旧東海道藤沢宿〜神奈川県藤沢市〜
東海道五十三次の6番目の宿場である藤沢宿。古くから一遍上人を宗祖とする時宗の総本山である清浄光寺(遊行寺)の門前町として栄えた場所で、1843(天保14)年の「東海道宿村大概帳」に、宿内人口4,089人で、総家数919軒、旅籠(はたご)45軒、本陣が1軒、脇本陣が1軒という規模。人口では神奈川県内において、神奈川宿(5,793人)、小田原宿(5,404人)に次ぐ規模でした。また、江戸時代初期には徳川将軍家の宿泊施設である藤沢御殿も置かれました。
1887(明治20)年に藤沢宿の南へ現在の藤沢駅が出来ると、旧藤沢宿地区は問屋街に転身し、地域経済の中心となりますが、1923(大正12)年の関東大震災による被災や昭和初期の経済恐慌によって衰退。一方で現在でも往時を偲ばせる古建築が残っているほか、遊行寺の前には2016(平成28)年4月29日に「ふじさわ宿交流館」がオープン。高札場が再現されたほか、一部エリアの復元模型や郷土資料の展示が行われています。
さて、遊行寺は1325(正中2)年に遊行上人第四代呑海が実兄である俣野五郎景平の援助によって、極楽寺という廃寺を再興して開山したもの。いくつかの歴史的建造物が残るほか、国の重要文化財に指定されている後醍醐天皇画像、一向上人画像、時宗過去帳などを所蔵しています。
上写真は本堂。関東大震災の後、1937(昭和12)年に木造で建てられたもので、国登録有形文化財。入母屋造で桁行梁間とも30m規模という、東海道随一の大きさです。
(撮影:裏辺金好)
○地図
○清浄光寺(遊行寺)の風景
中雀門 【藤沢市指定重要文化財】
1859(安政6)年築。遊行寺で現存最古の建築物で、関東大震災で倒壊しますがそのまま引き起こして再建。大棟に菊の御紋、屋根の下に葵の御紋があります。
御番方(ごばんかた) 【国登録有形文化財】
1913(大正2)年築。
鐘楼 【国登録有形文化財】
1934(昭和9)年築。
宇賀神社 【国登録有形文化財】
明治前期築。
○旧東海道藤沢宿の風景
ふじさわ宿交流館
ふじさわ宿交流館
実際の場所とは少し異なりますが、高札場が復元されています。
桔梗屋店蔵・主屋 【国登録有形文化財】
1911(明治44)年築。茶・紙問屋を営んだ旧家で、黒漆喰仕上げ。1階に重厚な観音開きの塗籠戸があります。奥に続く主屋は1階に3室を配し、西側へ関東大震災後、昭和初期に2階1部を増築。
桔梗屋文庫蔵 【国登録有形文化財】
1861(文久元)年築、1925(大正14)年改修。敷地西方に南北棟で建つ三階建の土蔵です。
旧石曽根商店 店舗兼主屋 【国登録有形文化財】
1924(大正13)年築の履物屋。木造二階建鉄板葺で、二階は出桁造です。
関次商店穀物蔵・肥料蔵 【国登録有形文化財】
穀物蔵は1886(明治19)年築。2019(平成31)年1月に「関次商店 パンの蔵 風土」としてリノベーションされています。肥料蔵は1907(明治40)年築。
蒔田本陣跡
白旗神社
藤沢宿西方面の総鎮守で、寒川比古命を古くから祀りますが、源義経の首がこの地に葬られたと伝えられることから、1249(宝地3)年に合祀されています。