円覚寺〜神奈川県鎌倉市〜


 JR横須賀線に乗車し、鎌倉駅より1駅北に位置する北鎌倉駅を下車すると、直ぐにその背後に見えて来るのが円覚寺(えんがくじ)。正式には瑞鹿山 円覚興聖禅寺と称する臨済宗円覚寺派の総本山で、鎌倉五山第二位。本尊は宝冠釈迦如来で、鎌倉幕府執権北条時宗が、蒙古襲来こと元寇での戦没者を供養するために、無学祖元を開山として建立しました。
 現在でも歴史的建造物が幾つか残っていますが、既に鎌倉時代から室町時代にかけて火災で多くの建物を失い、特に1563(永禄6)年の大火で全山を焼失してしまいます。今残っているの建物の多くは、移築されてきた舎利殿を除き、江戸時代以降に再建されたものです。
 上写真は山門で、1783(天明3)年築。円覚寺に入ると、直ぐに見えてくる巨大な門です。なお、円覚寺創建時は、山門がもっと南にあったそうで、最初はもっと大きなお寺だったようです。また今の円覚寺の山門は、建長寺に残る山門より8年あとに完成していますので、似ているようで似ていない、その違いを調べてみると面白いですね。
(撮影:裏辺金好)

〇地図



○風景


仏殿
1964(昭和39)年築。関東大震災の被災で長らく失われていたものを再建。円覚寺のご本尊を祀っています。


居士林
在家修行者のための坐禅道場。現在の建物は、1928(昭和3)年に柳生撤心居士から、東京牛込にあったより剣道場を寄進されて移築したもの。


選仏場
1699(元禄12)年、伊勢長島城主である松平忠充が、江戸の月桂寺・徳雲寺住職一睡碩秀の薦めにより、大蔵経を寄進するとともに、それを所蔵する場所と禅堂を兼ねた建物として建立したもの。内部には薬師如来立像(南北朝時代)を安置しています。


方丈

妙香池
創建当初よりある放生池。2000(平成12)年に、方丈裏庭園と合致した自然の姿に復元。


舎利殿 【国宝】
室町時代前期築と推定。1563(永禄6)年の円覚寺大火を受けて、鎌倉尼五山の太平寺仏殿を正続院の昭堂として移建したもので、鎌倉幕府第3代将軍の源実朝が宋の能仁寺から請来した「佛牙舎利(ぶつげしゃり)」というお釈迦様の歯が祀られています。ちなみに太平寺は鎌倉市西御門にあった寺で、戦国時代に廃されました。


舎利殿内部(再現)
横浜市の神奈川県立歴史博物館では、内部を実物大で再現したものが公開されています。


開基廟
1811(文化8)年築。北条時宗・貞時・高時を祀っています。

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