ヴェルニー公園〜神奈川県横須賀市〜


 JR横須賀駅前から京急汐入駅近くにまで広がるヴェルニー公園は、2002(平成14)年に整備された横須賀市の公園。
 公園の名前は、対岸にフランス人技師レオンス・ヴェルニー(1837〜1908年)が幕末から明治時代初期にかけて建設に貢献した横須賀製鉄所(のち横須賀造船所、現在は在日米軍横須賀海軍施設)などが臨めることに由来し、約1200株のバラが咲き誇るフランス式の庭園になっているのが特徴です。
 2021(令和3)年6月には、1869(明治2)年頃に建設され2003(平成15)年に解体されたティボディエ邸が外観復元され、当時使われていた小屋組み(キングポストトラス)を見ることができます。また、隣接する商業施設「コースカベイサイドストアーズ」からはクルーズ船「YOKOSUKA軍港めぐり」が発着しています。
(撮影:裏辺金好)

〇地図



○風景



JR横須賀駅
1940(昭和15)年築。ヴェルニー公園への最寄り駅です。


ヴェルニー記念館
フランス人技師ヴェルニーの功績と、横須賀製鉄所の意義を永く後世に伝えるために建てられた施設。フランスのブルターニュ地方の住宅の特徴である急傾斜の屋根と石の壁を取り入れています。では、内部の展示を見ていきましょう。


3t門形スチームハンマー 【国指定重要文化財】【日本遺産】
1865(慶応元)年オランダ製で、落下鎚重量3t、総重量18.4t、高さ6m。江戸幕府が横須賀製鉄所で使用するため1866(慶応2)年に輸入したもの。蒸気の圧力で鍛造・加工する機械で、蒸気の圧力で鍛造・加工する機械です。1997(平成9)年まで横須賀製鉄所の後身の施設である、在日米海軍横須賀基地艦船修理廠で稼働していました。2000(平成12)年に横須賀市へ寄贈され、ヴェルニー記念館で展示されています。


0.5t片持ち形スチームハンマー 【国指定重要文化財】【日本遺産】
1865(慶応元)年オランダ製で、落下鎚重量0.5t、総重量12.4t、高さ3.2m。こちらも江戸幕府が横須賀製鉄所で使用するため輸入したもの。1971(昭和46)年に横須賀市へ寄贈され、以前は横須賀市中央公園で展示されていました。

戦艦「陸奥」模型
戦艦「陸奥」は1921(大正10)年に横須賀海軍工廠で竣工したもので、史上初めて41センチ砲を搭載した「長門」型の2番艦。1934〜36(昭和9〜11)年にかけて改装され、1943(昭和18)年に瀬戸内海の柱島沖で原因不明の爆発事故を起こし沈没しました。


戦艦「陸奥」主砲
2016(平成28)年に船の科学館(品川区)から41cm主砲が移設されて展示されています。

逸見波止場衛門跡
明治末期から大正初期の建築と推定。旧横須賀軍港逸見門の衛兵詰所で、高さ約4m。屋根は銅板ぶきドーム型、本体は八角形の鉄筋コンクリート造り、外壁はタイル張りです。


ティボディエ邸
1869(明治2)年頃に横須賀製鉄所副首長であったジュール・セザール・クロード・ティボディエの官舎として建築され、2003(平成15)年に解体されて部材が保管されていたものを外観復元。

ティボディエ邸
屋根の重さを受ける小屋組みは当時のものを移設。木材をM型に組む「キングポストトラス」という構法が用いられています。

ティボディエ邸
エントランスで横須賀の観光スポットを紹介。


ティボディエ邸
現存資料から一室を再現。


九二式特受信機改四
1932(昭和7)年開発。日本で初めて国際レベルの性能に達し、旧海軍全艦船に搭載された全波受信機。



フランソワ・レオンス・ヴェルニー(1837〜1908)胸像

小栗上野介忠順(1827〜1868)胸像
江戸幕府の外国奉行、勘定奉行を務め、フランスの支援で横須賀製鉄所の建設を推進するなど幕府側から日本の近代化を推進。大政奉還後に徹底抗戦を主張し、官軍により斬首されました。ちなみに玄孫に漫画家の小栗 かずまた氏がいます。




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