旧国立駅舎〜東京都国立市〜


 旧国立駅舎は、1926(大正15)年4月1日に鉄道省(のち国鉄。現・JR東日本)の国立駅開業時から使用されていたもので、国立市指定有形文化財。設計はフランク・ロイド・ライトに師事した河野 傳(つとう)。イギリスの田園都市の小住宅にみられる赤い三角屋根に白い壁、ロマネスク風の半円アーチ窓やドーマー窓が取り入れられているのが特徴です。

 堤康次郎が経営する箱根土地株式会社(現・プリンスホテル)が、東京商科大学(現・一橋大学)初代学長の佐野善作とともに、国分寺と立川の間に位置した当時の谷保村へ国立大学町を開発した際に、請願駅として駅舎を建設し、鉄道省へ譲渡したもので、国立の歴史とともに歩んできました。

 中央線の高架化工事に伴い、2006(平成18)年10月8日に駅舎としての役目を終え、国立市指定有形文化財とされた上で解体。長らく部材が保管され続けてきましたが、2020(令和2)年4月6日に復元工事が完了。当初の内部軸組み部材の約7割を再利用し、創建当時の姿を再現しています。
(撮影:裏辺金好)

〇地図



○風景


解体前の国立駅舎。「国立駅」の文字は後に取り付けられたもの。また、改札口が拡幅されているほか、屋根のドーマー窓は失われていました。



復元された旧国立駅舎背面。

解体前の国立駅背面

旧国立駅舎の旧出札室と広間周辺。出札室は「まち案内所」として、お土産の販売や観光案内を行っています。広間は復元後も広間として活用され、休憩場所として好評のようです。

旧改札口。1970(昭和45)年には当時の国鉄が国内初の自動改札機を試験導入しました。

旧手小荷物取扱所(開業時に荷物預かりサービスがあった場所)は、展示室として活用されています。


駅舎正面のひさしを支える両側2本の柱は、イギリスやアメリカの古レールを再利用したもの。

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