ボーイング727
     Boeing 727


スマートなデザインで人気を博した727−200。
(写真:ソルトレイク・シティ空港/撮影:ムスタファ)

●基本データ・就航区間
登場年:1963年
使用航空会社:フェデックス等(全日空・日本航空)
就航路線:メンフィス〜アメリカ合衆国各地等(羽田〜山形等)

●機体の解説
 ボーイング社が1950年代後半に開発を開始したジェット旅客機で、4発機の707に対して、エンジン数は3基とし、おもに中距離輸送に使用することを前提に開発された。滑走路等の空港施設の十分ではなかった亜幹線クラスの空港でも発着可能なように強力な高揚力装置を搭載し、補助タラップを機体後部に内蔵していた。
 ボーイングが開発した機体としては珍しく、エンジンは主翼に吊り下げるタイプではなく、機体後部に3基とも集中配置とした。また、水平尾翼も垂直尾翼の上部につくT字尾翼を採用するなど、ボーイング機としてはきわめて異色の機体となったが(717はマクドネル・ダグラス社のDC−9ファミリーで純粋なボーイング機ではない)、そのスタイルのよさから大変人気のある機体となった。
 バリエーションとしては、基本形となった−100とそのストレッチ型である−200があるが、最近では燃費改善のために主翼にウィングレットを後付で装備する機体も登場している(この機体のことをスーパー27と呼ぶらしい)。
 727は767と757の生産が本格化する1984年まで製造が続き、総生産機数は1800機以上で、737に抜かれるまで最も生産数の多いベストセラー機であった。もっとも、全損率も極めて高く、80機以上が墜落・オーバーランなどの事故によって失われて登録抹消となっている。
 日本においても導入され、主要3社がいずれも導入したが、特に日本航空との熾烈なシェア争いをしていた全日空が導入の主導権を握って推し進めた。
 日本では1990年までに全機引退してしまったが、世界各国でまだ多数の機体が使用されており、チャーター便などで日本にも飛来する。

●ギャラリー


 DHLの727−200。
 黄色い塗装が目立つ。DHLも貨物航空会社の例に漏れず三発機を大量に保有している。
(写真:北京首都空港/撮影:ムスタファ)


 JALの727−100(旧塗装)。
 JALはANAとの協議で727を導入することを決め、国内線や地方発の国際線などに727を投入した。写真は鶴丸塗装になる前の塗装。
(写真:羽田空港/撮影:鉄の鳥(禁転載))


 東亜国内航空(後のJAS)の727−100。
 日本国内航空が保有し、JALにリースしていたものを合併を機にリースバックして2年ほどこのカラーで活躍したが、TDAにとって使い勝手の良くない機種だったため、早々に売却されている。
(写真:福岡空港/撮影:鉄の鳥(禁転載))


 ANAの727−100(初代塗装)。
 ANAはJALに対抗するために727をJALとともに発注したが、ユナイテッド航空からチャーターするという「裏技」を使って先手を打った。1960年代のANAのフラッグシップである。
(写真:福岡空港/撮影:鉄の鳥(禁転載))


 ロイヤルネパール航空の727−100。
 ネパール国王が訪日したときに飛来した。
(写真:福岡空港/撮影:鉄の鳥(禁転載))