ボーイング747
     Boeing747


羽田空港を離陸する全日空のボーイング747−400D
(写真:羽田空港/撮影:デューク)

●基本データ・就航区間
登場年:1969年
(国内)使用航空会社:日本航空・全日空・日本貨物航空
(国内)就航路線:羽田〜札幌・羽田〜福岡・羽田〜那覇等

●機体の解説
  ボーイング747は2005年まで世界最大の旅客機として世界的にも最も有名な機体のひとつであった(現在はエアバスA380に「世界最大」の地位を譲っている)。
 この機体はもともとアメリカ空軍の輸送機として設計されたもので、輸送機としては採用されず、宙ぶらりんになっていたところに、パンアメリカン航空(現在は破産)がボーイング社に対して大型機の製造を依頼したことから、旅客機として誕生した。
 当時、まだ航空機による旅行は金持ちの道楽のような印象があり、航空券の値段もかなり高額であった。そのため、このような機体は無駄な投資だと散々批判を受けることになったが、いざ就航してみるとライバル各社とも対抗上次々と747を導入。初期の頃は空席だらけであったものの、採算を取るために単価を下げてより多くの乗客を確保するようにしていったため、航空機での移動のハードルが一気に下がることになった。
 いくつかのバリエーションがあるが、最初のモデルが747−100。−100に対して、航空需要が多いのに空港整備が立ち遅れていた日本の国内線向けに主脚などの強化を図った747SR、さらに−100の胴体を短くし航続距離を伸ばした747SP、−100の発展系として747−200、エンジンの性能を改善し、二階部分を拡張した747−300などがあり、ここまでの機体を主に747クラシックなどと呼んでいる(レアな機体としては−300の機体に−100のエンジンを搭載した−100B/SUDなんていうのもある。日本航空が2機だけ導入した。2006年10月31日をもって引退した)。
 その後グラスコックピットの採用や、大幅なハイテク化を進めた747−400が登場。大型機でありながら2人乗務が可能となっている。現在も航続距離延長型の747−400ERの製造が続いている。
 また、ボーイング社は一時期断念した大型機の新規製造を復活させたが、まったくの新設計とせず、747グループとして製造することを決定した。この機体はボーイング787の技術を大幅に取り入れ、エンジンも同じものを搭載して、燃費の向上等をはかる予定で、747−8と呼ばれている。
 なお、巨大な機体で多数の乗客を運べるために、墜落事故等を起こすと多数の死者を出すことになり、史上最悪の航空事故(テロ等は除く)である「テネリフェの悲劇」や、単機の墜落事故としては史上最悪の事故となった「日航ジャンボ機墜落事故」の当事機となっている。

●ギャラリー


 747−100。
 747の最初のモデル。当初は2階席はファーストクラス用のラウンジが設置されていた。
 写真は新千歳空港にやってきたエバーグリーンの−100。
(写真:新千歳空港/撮影:デューク)


 日本航空の747SR。初代鶴丸塗装。
 この塗装は747を導入するに当たって採用された塗装で、良くも悪くも日本航空の代表的な塗装であった。
(写真:羽田空港/撮影:裏辺金好)


 全日空の747SR。
 全日空にとって初めて採用した747で、1979年のこと。その後は全日空の顔として活躍したが、2006年3月に引退した。SRの引退によって全日空から3人乗務機がなくなり、すべて2人乗務機となった。
 側面のオペレーター名の部分は漢字表記のみであるところに注目。
(写真:羽田空港/撮影:ムスタファ)


 747の基本形とも言うべき747−200B。
 747−400などに比べて「こぶ」の部分が短いのがわかる。
(写真:成田空港/撮影:デューク)


 旧塗装の747−200B。
 この機体のレジはJA8162。日本航空が満を持して太平洋路線に投入した通称「エグゼクティブエクスプレス」の1機。予約状況によってはエコノミークラスの座席がなくなるという豪華仕様だった。
 現在は国内線機材として活躍している。
(写真:羽田空港/撮影:デューク)


 ノースウエスト航空の747−200B。
 意外とノースウエスト航空には貴重な機体が残っているが、DC−10などとともに数を減らしてきている。
(写真:成田空港/撮影:ムスタファ)


 JALカーゴの貨物機747−200F。
 貨物機の中には極限まで自重を減らすために機体の塗装をはがしていた異色の機体も存在する。
(写真:成田空港/撮影:デューク)


 ノースウエスト航空の747−200F。
 旅客型からの改造機で、アッパーデッキ部分の窓はそのまま残されている。。
(写真:成田空港/撮影:デューク)


 ノースウエスト航空の747−200F。
 極力塗装を行わないため、非常に目立つ。
(写真:成田空港/撮影:デューク)


 チャーター機等の運行やリゾート路線に活躍していたJALWAYSの747−300シリーズ。
 国内では少なくなった3人乗務機である。花柄のイラストはなかなかよいデザインであると思う。
(写真:那覇空港/撮影:デューク)

 現在の全日空の747−400D。
 主に羽田と札幌・福岡・那覇を中心に運行している。純粋な国内線として短い区間だと羽田〜小松という路線にも就航している。世界的に見てもかなり特殊な運行形態だといわれている。
 なお、全日空は国内線用の747について順次退役させていくとしている。
(写真:羽田空港/撮影:デューク)

 オペレータ名がまだ漢字のままとなっているいわゆる旧バージョンの747−400D。
 747−400と400Dは簡単な改造で移行できるようになっている。もっともウィングレットは一度取り付けて再度取り外すと、二度と装着することはできない。
(写真:羽田空港/撮影:デューク)

 現在の日本航空の塗装となった747−400D。
 鶴のマークから日の丸?をイメージした赤に変わったが、この塗装はイマイチ好きではない。機体は白一色になっている。
(写真:那覇空港/撮影:デューク)

 「Yokoso!JAPAN」塗装となっている。日本航空の747−400。
 日本航空と全日空の国際線仕様の機体の一部にこの塗装が採用されている。
(写真:成田空港/撮影:デューク)

 日本航空の旧塗装。
 鶴のマークは長く日本航空のトレードマークであったが、日本エアシステムとの統合を期に変更されつつある。この旧塗装は機体の塗装も白一色かと思いきや、微妙にアクセントがあって好感が持てた。
(写真:羽田空港/撮影:デューク)

 現在の日本航空のラッピングを施したとなった747−400D。
 「Skyward」は日本航空の機内誌のタイトルにも使用されている単語である。
(写真:羽田空港/撮影:ムスタファ)

 ノースウェスト航空の747−400。
 この塗装の機体を見る機会はだいぶ少なくなった。
(写真:成田空港/撮影:デューク)

 ノースウエスト航空の747−400新塗装。
 その後デルタ航空と合併してしまったため、この塗装の時代は短かった。
(写真:成田空港/撮影:デューク)

 デルタ航空の747−400。
 ノースウエスト航空の機材は合併後順次、デルタ航空の塗装に塗り替えられている。
(写真:成田空港/撮影:デューク)

 ユナイテッド航空の747−400旧塗装。
 だいぶ前から塗装変更を開始しているユナイテッド航空だが、そのスピードはなかなか上がらないようで、相変わらず旧塗装機が幅を利かせている。
(写真:成田空港/撮影:デューク)

 ブリティッシュエアウェイズの747−400。
 エンジンに注目。
(写真:成田空港/撮影:デューク)

 ブリティッシュエアウェイズの747−400ワンワールド塗装。
 あまり違和感がない。
(写真:ロンドン・ヒースロー空港/撮影:デューク)

 ヴァージンアトランティック航空の747−400。
 イギリスの航空会社でありながらロールスロイス製のエンジンではない・・・。
(写真:ロンドン・ヒースロー空港/撮影:デューク)

 シンガポール航空の747−400。
 日本線に就航している−400は、777−300ERの就航までは同航空随一の豪華な機内設備が評判となっていた。
(写真:チャンギ空港/撮影:デューク)

 サウジアラビア航空の747−400。
 サウジアラビアの国営航空。
(写真:ロンドン・ヒースロー空港/撮影:秩父路号)

 エルアルイスラエル航空の747−400。
(写真:ロンドン・ヒースロー空港/撮影:秩父路号)

 主翼にウィングレットを装備している大韓航空の747−400。
 羽田空港などではウィングレットを装備した747−400は基本的にターミナルのゲートに入ることができず沖止めとなる。駐機自体は可能だが、そうすると隣のゲートには小型機しか駐機できなくなるという運用の不都合が生じるため。
(写真:羽田空港/撮影:デューク)

 大韓航空の747−400F。
 −400Fは−400シリーズながらアッパーデッキが短いのが特徴。したがって、旅客型から改造機とはすぐ見分けがつく。
(写真:成田空港/撮影:デューク)

 2006年現在のポケモンジェット(ピカチュウジャンボ)塗装となっている全日空の747−400D。
 ポケモンジェットの塗装は初代の頃はまだおとなしめであったが、今やオペレーター名が入っていないとどこの航空会社かとすら思えてしまうような状態だ。
(写真:羽田空港/撮影:デューク)

 別パターンのポケモンジェット(お花ジャンボ)。
 こちらはスカイブルーが基調。
(写真:福岡空港/撮影:デューク)

 KLMオランダ航空の747−400M。
 一見普通の−400だが、旅客と貨物両方に対応したコンビ型。旅客需要とともに貨物需要にも対応可能な機体となっている。
(写真:成田空港/撮影:デューク)

 タイ国際航空の747−400。
(写真:成田空港/撮影:デューク)

 タイ国際航空の旧塗装。
 新塗装が出て時間が経過しているが、旧塗装も活躍中。
(写真:ロンドン・ヒースロー空港/撮影:デューク)

 マレーシア航空の747−400。
(写真:ロンドン・ヒースロー空港/撮影:デューク)

 アシアナ航空の747−400M。
 ベリー部を含めて旅客需要が限られていながら、貨物需要の旺盛な路線で見かけることがある。
(写真:成田空港/撮影:デューク)

 中国国際航空の747−400M。
 一見するとわからないが、コンビ型である。
(写真:成田空港/撮影:デューク)

 南アフリカ航空の747SP。
 アパルトヘイトの関係で上空を飛行できない国が多かった南アフリカ航空は、航続距離に秀でた747SPを導入して各就航地を結んだ。
 ちなみにこの塗装は旧塗装。
(写真:シャルル・ドゴール空港/撮影:裏辺金好)

 ガルーダ・インドネシア航空の747−400 。
(写真:成田空港/撮影:デューク)

 ブルネイ王国専用機の747−400。
(写真:成田空港/撮影:デューク)

 フィリピン航空の747−400 。
(写真:香港空港/撮影:デューク)

 エバー航空の747−400。
(写真:香港空港/撮影:デューク)

 こちらもキャセイパシフィック航空の747−400 。
 ただし、こちらはシンガポール航空から購入したもの。エンジンの形状が異なる。
(写真:香港空港/撮影:デューク)

 キャセイパシフィック航空の747−400。
(写真:香港空港/撮影:デューク)

 TNT航空の747−400F。
 TNTは日本にも支店があるが、2008年現在、TNT航空は日本に就航していない。
(写真:香港空港/撮影:デューク)

 キャセイパシフィック航空の747−200F 。
(写真:成田空港/撮影:デューク)

 日本貨物航空の747−400F。
(写真:成田空港/撮影:デューク)

 イラン航空の747SP。
 日本に就航する唯一のSP型。
(写真:成田空港/撮影:ムスタファ)

 バーレーン王室の747SP。
 皇太子殿下来日の際に撮影。
(写真:羽田空港/撮影:デューク)

 大韓航空の747−8F。
 747最新シリーズで、ボーイング787の技術を導入したりするなど、新しい機材となった。旅客型よりカーゴ型のほうが好調である。ちなみに大韓航空は旅客型、カーゴ型のいずれも導入する。
(写真:成田空港/撮影:デューク)

 ルフトハンザドイツ航空の747−8I。
 旅客型747−8のローンチカスタマーである。A380ほどの需要が見込めない路線に対して投入する。
(写真:北京首都空港/撮影:裏辺金好)