急行【かすが】
末期は専用のキハ75系を使用して運転されていた「かすが」。
(写真:奈良駅/撮影:デューク)
●基本データ
登場年:昭和41年(1966年)運転区間:名古屋〜奈良(湊町)
使用車種:キハ55系・キハ58系・キハ75系
●列車の解説
急行「かすが」は昭和41年に登場したが、それまでは準急列車として活躍していた。多層建て急行列車の基幹列車でもあり、京都方面などから草津線経由でやってくる列車などと併結して関西本線を快走した。だが、関西本線は近鉄線と路線が競合していたが、近鉄がデラックス列車を投入してくるのに比べ国鉄は後手後手にまわり、国鉄末期になるともはやいかんともしがたい状態にまで追い込まれた。そして、国鉄最後のダイヤ改正となった昭和61年の改正で、「かすが」を除いて廃止となり、「かすが」は関西本線系統最後の優等列車として孤軍奮闘することとなった。
JR化後はキハ58系のグレードアップなどが実施され、スピードアップなども行われるが、車両の老朽化が進んだため、平成11年に快速「みえ」に使用されていたキハ75系に置き換えられた。車内などのグレードは急行列車としてふさわしい仕様に改められたが、このあたりで、急行列車という中途半端な存在の扱いの難しさが出たと言う印象だった。
時が進み、急行列車はすでに両手で間に合ってしまうほどに減少していたが、昼行急行としては唯一指定席を連結するなど、車両の車齢なども含めて、「かすが」は今後も活躍するかと思われた矢先の平成18年、廃止となってしまった。
●ギャラリー
奈良へ向かって出発を待つ「かすが」。
名古屋駅にやってくる最後の昼行急行列車であったが、ついに過去帳入りしてしまった。車両が車両なだけに「みえ」と勘違いして乗車するひとも多かったようだ。
(写真:名古屋駅/撮影:デューク)
奈良駅に到着する「かすが」。
さすがに廃止アナウンスの後は、記念乗車組の乗車が相次いだようで、どの日もそれなりの混雑だったようだ。
この写真を撮影した日は、廃止まで1ヶ月をきっており、奈良駅での撮影者もかなり多く、時ならぬお祭り騒ぎの様相を呈していた。
(写真:奈良駅/撮影:デューク)
夕暮れの奈良駅で発車を待つ「かすが」。
「かすが」は1往復しかなかったため、それなりに混雑していたようだが、やはり本数が少なすぎたのは致命的だったのだろう。
この写真を撮影したのは廃止のアナウンスの直後に当たり、夕暮れの暗さも手伝い、寂しげな雰囲気が印象的だった。
(写真:奈良駅/撮影:デューク)
かすが」の行先方向幕。
JR東海の優等列車の標準的な方向幕の内容である。
(写真:名古屋駅/撮影:デューク)