特急【かもめ】


885系による「かもめ」。のちに塗装は「ソニック」と共通化され、アクセントカラーを青、「AROUND THE KYUSYU」のロゴとなっている。
(写真:鹿児島本線 竹下駅/撮影:裏辺金好)

●基本データ

登場年:1976(昭和51)年(※九州内の特急として) /1937(昭和12)年(※愛称名の登場)
運転区間:博多〜長崎 (かつては京都〜博多 → 京都〜長崎・宮崎)
元使用車種:スハ44系、10系客車、キハ80系、485系、783系、787系、885系

●列車の解説

 「かもめ」という特急が初めて登場したのは1937(昭和12)年、東海道本線の東京〜神戸間の特急「鴎」として運転されたのが最初。特急「燕」の姉妹列車的な存在で、戦況が悪化した1943(昭和18)年に廃止された。

 そして1953(昭和28)年。今度は戦後初の山陽特急としてC62牽引の客車列車にて登場した。しかし、実態は急行列車並であり、東京直通の「あさかぜ」「さくら」がデラックス車両に置き換えられる中で、地味で影の薄い存在となっていた。

 しかし、1961(昭和36)年10月の白紙改正で「かもめ」はキハ80系によって気動車化され、大幅なスピードアップとグレードアップを果たし、運転区間も長崎、および日豊本線経由で宮崎に延長となった。その後、行先は点々とするものの、コアとなっていたの長崎行きであり、現在の長崎特急=「かもめ」のイメージはこのとき出来上がった。

 1975(昭和50)年まで京都から長崎まで結んできた「かもめ」であったが、新幹線博多開業によっていったん廃止された。本来であれば、博多〜長崎で運転を継続させればよかったのだが、長崎本線電化が新幹線博多開業に間に合わず、一方キハ80系の転属先がすでに決定していたため、長崎特急は1年のブランクを生じることになった。


 そして1976(昭和51)年、長崎本線の電化が完成し、改めて485系による特急「かもめ」が博多〜長崎に登場するが、これは当然の成り行きであったといえる。電車特急としては異例の「みどり」との併結運転も実施され、何かと話題の尽きない特急であったが、話題性としてはJR化後もこの特急の冠する話題は尽きなかった。

 まず、JR初の新型特急形式となった783系は「有明」と「かもめ」に投入された。さらに「つばめ」復活の立役者となった787系も「かもめ」で使用された。

 一方、国鉄時代から走り続けていた485系も黙ってはいない。従来の485系のイメージを一新する真っ赤な塗装で度肝を抜いたのもこの「かもめ」が最初だった。さらに2000(平成12)年、赤の次は白ということで、885系「白いかもめ」が登場し、「かもめ」の主役となり、485系は引退に追い込まれた。

 2011(平成23)年3月12日改正で、「みどり」「ハウステンボス」との併結運用が終了する一方、「リレーつばめ」廃止で余剰となったことから、一時運用から外れていた787系が、約10年ぶりに「かもめ」運用に本格復帰。その後、783系は次第に運転本数を減らし、2018(平成30)年3月17日改正からは、かもめ104号のみに充当されている。

 西九州新幹線(武雄温泉〜長崎)開業に伴う2022(令和4)年9月23日改正で、「かもめ」の愛称は新幹線へ譲ることになり、門司港・博多〜武雄温泉の特急「リレーかもめ」と、門司港・博多〜肥前鹿島の特急「かささぎ」に再編されている。


●ギャラリー(783系)


かつては「みどり」「ハウステンボス」を従え、圧巻の12両編成が見られた。
(写真:鹿児島本線 竹下駅/撮影:リン)

(写真:鹿児島本線 鳥栖駅/撮影:裏辺金好)

現在は「ハウステンボス」「みどり」編成による運用(かもめ104号)のみが存在。元々は2017年3月改正から2018年3月改正まで、「有明4号・かもめ104号」として鳥栖駅→吉塚駅間で併結運転していたもの。
(写真:鹿児島本線 博多駅/撮影:裏辺金好)

 こちらはシンプルな783系の行先表示機。
(撮影:裏辺金好)

 783系を注意深く見ると、旧トレインマークが密かに採用されている。
(撮影:裏辺金好)  

●ギャラリー(787系)


「リレーつばめ」廃止に伴い、かもめ運用に本格参入した787系。
(写真:長崎本線 神崎駅/撮影:裏辺金好)

愛称・行先表示
(撮影:裏辺金好)

●ギャラリー(885系)


白い「かもめ」こと、885系が現在の主力。博多駅で「かもめ」同士が・・・と言いたいところだが、左は「ソニック」。
(写真:鹿児島本線 博多駅/撮影:裏辺金好)

登場時はアクセントカラーが黄色で、KAMOMEロゴだった885系。
(写真:長崎本線 伊賀屋〜佐賀/撮影:リン)

「キスマイ☆エクスプレス」ラッピング車による「かもめ」。JR九州とKis-My-Ft2がコラボしたKISS MY NAGASAKI企画の一環。
(写真:長崎本線 神崎駅/撮影:裏辺金好)

●ギャラリー(キハ80系)


新幹線開業前のキハ80系による特急「かもめ」。
(写真:東海道本線 京都駅/撮影:照山様 禁転載)

●ギャラリー(485系)


国鉄時代の485系特急「かもめ」。こちらは「みどり」との併結運転。※1985年1月撮影
(写真:鹿児島本線 二日市〜原田/撮影:ひょん君)

JR化直後の特急「かもめ」。
(写真:鹿児島本線 博多駅/撮影:もこてん 禁転載)

JR化直後の特急「かもめ」。181系を改造した先頭車も現役だった。
(写真:鹿児島本線 博多駅/撮影:もこてん 禁転載)

485系RED EXPRESS編成による特急「かもめ」。
(写真:鹿児島本線 博多駅/撮影:裏辺金好)

485系MIDORI EXPRESS色を先頭にした特急「かもめ」。
(写真:鹿児島本線 博多駅/撮影:裏辺金好)

2007年にリバイバル運転された485系特急「かもめ」。
(写真:長崎本線 多良〜肥前大浦/撮影:小田急3000形 禁転載)

在りし日の485系「かもめエクスプレス」。修学旅行のときに485系が見えてあわてて撮ったのがこれ。長崎本線の駅ということはわかるのだが、どこだか見ていなかった。しかし・・・このときが見納めになってしまうとは思わなかったなぁ・・・。
(撮影:デューク)

485系による愛称・行先表示
(撮影:裏辺金好)

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