特急【やくも】
現在の主力、273系による特急「やくも」。
(写真:伯備線 黒坂〜根雨/撮影:リン)
●基本データ
登場年:1972(昭和47)年運転区間:岡山〜出雲市
使用車種:273系
元使用車種:キハ181系、381系
●列車の解説
1972(昭和47)年、新幹線が新大阪から西進して、岡山まで開業した。ここで、岡山で新幹線から接続して、伯備線を通って米子・出雲市方面へ向かう特急列車が設定され、「やくも」となった。当時伯備線は非電化であったため、キハ181系による運転となり、運転開始当初は3往復であったが、増発が実施され、6往復にまで増強され、全列車気動車で運転される特急としては唯一L特急に指定されるなど、非常に好調な成績を残した。伯備線は輸送も好調なことから、電化されることとなり、昭和57年に電化が完成、「やくも」もキハ181系から381系に置き換えられ、さらに急行列車の格上げなども実施され、本数は大幅に増え、381系の高加減速なども手伝い、大幅なスピードアップを果たした。
当初全列車9両編成で運転されたが、まもなく供給過剰となり、昭和61年から短編成化が実施され、その代わり運転本数が増やすという変更を行った。そして、1994(平成6)年12月3日に13往復中4往復が、速達列車である「スーパーやくも」として分離。「スーパーやくも」は専用塗装化され、一部には松江方にパノラマグリーン車を連結している。
一方、1997(平成9)年からは「やくも」編成の塗装が変更を開始し、国鉄色から灰色地に緑色・黄色の通称「緑やくも」色に変更された。
2006(平成18)年のダイヤ改正で「スーパーやくも」が再び「やくも」に編入され、この際に「スーパーやくも」編成はロゴの一部を省略。2007(平成19)年4月3日からは、リニューアル編成である「ゆったりやくも」が運用を開始し、塗装を一新。
2010(平成22)年8月2日に定期列車の全列車が「ゆったりやくも」編成での運行となったが、2022(令和4)年3月19日から国鉄色、2023(令和5)年2月17日から「スーパーやくも」色、同年11月5日からは「緑やくも」色が1編成ずつリバイバルされた。
2024(令和6)年4月6日からは、新型車両である273系が運用を開始し、2024(令和6)年6月15日に381系は定期運用を退いている。
ちなみに、「やくも」という名の特急が登場したのは1954(昭和39)年のことで、山陰本線の「まつかぜ」の補完列車として、大阪〜浜田間を福知山線・山陰本線経由で結んでいた。また、伯備線経由の特急列車として昭和46年から「おき」が新大阪から運転されていた。
●273系
4両編成を基本とし、2編成併結の8両編成でも走行する273系。「やくもブロンズ」色を基調とした塗装に、新たに制定された「やくも」ロゴマークを大きく表示。
(写真:伯備線 方谷〜井倉/撮影:リン)
●キハ181系
キハ181系時代の「やくも」。※1979年撮影。
(写真:山陽本線 岡山駅/撮影:ひょん君)
キハ181系時代の「やくも」。※1980年1月撮影。
(写真:伯備線 上石見駅/撮影:ひょん君)
イイ感じでカーブしながら布原信号場へ入って行きます。※1982年2月撮影。
(写真:伯備線 新見〜布原信号場/撮影:ひょん君)
このカーブ、今はどのような風景となっているのでしょうか。※1982年2月撮影。
(写真:伯備線 新見〜布原信号場/撮影:ひょん君)
●381系(国鉄色)
日根野電車区(当時)の国鉄色車両を増結した時の姿。
(写真:伯備線 根雨〜黒坂/撮影:リン)
国鉄色リバイバル編成による「やくも」。JNRマークが復刻されている。
(写真:伯備線 方谷〜井倉/撮影:リン)
日根野電車区(当時)の国鉄色車両を増結した時の姿。
(写真:山陰本線 米子駅/撮影:リン)
国鉄色リバイバル編成による「やくも」。
(写真:山陰本線 直江〜出雲市/撮影:リン)
●381系(ゆったりやくも色)
(写真:山陽本線 岡山駅/撮影:リン)
(写真:伯備線 根雨〜武庫/撮影:ひょん君)
(写真:伯備線 備中川面〜方谷/撮影:リン)
ノーマル編成とパノラマ編成の離合。
(写真:山陰本線 米子駅/撮影:裏辺金好)
9両編成という堂々たる姿で運転。
(写真:山陰本線 直江〜出雲市/撮影:裏辺金好)
●381系(緑やくも色)
(写真:山陽本線 岡山駅/撮影:デューク)
スーパーやくも塗装を1両組み込んで。
(写真:伯備線 日羽駅/撮影:リン)
「緑やくも」リバイバル編成。
(写真:伯備線 備中高梁〜木野山/撮影:裏辺金好)
「緑やくも」リバイバル編成。
(写真:伯備線 方谷〜井倉/撮影:リン)
モノクラス3両編成の「やくも」。2006(平成18)年のダイヤ改正で消滅してしまったが、早朝を中心に3両編成での運転が実施されていた。これは本当に短い。
(写真:山陰本線 米子駅/撮影:デューク)
雪の中の山陰本線を行く381系「やくも」。
(写真:山陰本線 松江駅/撮影:デューク)
ゆったりやくも色を2両増結した「緑やくも」リバイバル編成。
(写真:山陰本線 直江〜出雲市/撮影:リン)
先頭車に掲出されているロゴマーク。
(撮影:裏辺金好)
●381系(スーパーやくも色)
引退を前に塗装が復活した「スーパーやくも」色による特急「やくも」。前面の愛称表示は、「スーパーやくも」としている。
(写真:山陽本線 岡山駅/撮影:裏辺金好)
パノラマグリーン車を連結する元「スーパーやくも」編成の「やくも」。SUPERのロゴは消されている。当時、いったん「スーパー」化した列車が再び下位列車に吸収されるのは珍しい現象であった。
(写真:山陽本線 岡山駅/撮影:デューク)
「スーパーやくも」色リバイバル編成による特急「やくも」。
(写真:山陽本線 庭瀬駅/撮影:裏辺金好)
こちらは「スーパーやくも」色の「やくも」。「スーパーやくも」が存在していた当時から見られた風景で、車両運用の都合とはいえ、専用塗装ってなに?という気も。
(写真:山陽本線 倉敷駅/撮影:リン)
「緑やくも」ユニットを増結した元「スーパーやくも」色。
(写真:山陰本線 米子駅/撮影:リン)
こちらは「スーパーやくも」色リバイバル編成による「やくも」。
(写真:山陰本線 直江〜出雲市/撮影:リン)
「スーパーやくも」ロゴマーク
(撮影:裏辺金好)
●381系(くろしお色)
こちらは2007(平成19)年4月に運転された「くろしお」塗装の381系による「やくも」。
(写真:山陽本線 岡山駅/撮影:リン)
同じく2007(平成19)年4月に運転された「くろしお」塗装の381系による「やくも」。
(写真:伯備線 日羽駅/撮影:リン)
●381系(その他)
「緑やくも」色と国鉄色の並び。
(写真:伯備線 方谷駅/撮影:裏辺金好)
「緑やくも」色と「ゆったりやくも」色の並び。
(写真:伯備線 方谷駅/撮影:リン)
「やくも」の行先方向幕。国鉄時代のものと同じデザインのものを使用している。
(撮影:リン)
「やくも」の行先方向幕。こちらは現在のゴシック体の方向幕。
(撮影:リン)
「やくも」の行先表示。こちらはLED化されたもの。
(撮影:リン)