小浜市で若狭国府跡発見(西縄手下遺跡/福井)

2006年12月16日掲載


遺跡名称:西縄手下遺跡
時期:奈良〜平安(8〜10世紀)
所在地:福井県小浜市大興寺


  12月8日小浜市世界遺産推進室の発表によるとこの遺跡から若狭国府の跡と見られる遺構が検出されたそうです。遺構は建物が規則正しく整然と配置されており国司クラスの役人の持ち物である“玉製巡方”の検出を根拠として国府の跡ではないかとしているそうです。“巡方”というのはベルト飾りのこと、たぶん今で言うところのバックルですね。

 遺跡からは計11棟分の礎石や柱穴を検出、この時代になると一般住居はともかくこういった性格の遺跡だと掘っ立て柱式の建物なので竪穴を伴うというのはほとんどなくなります。このうちひとつの建物跡からは甕、土製鍋など炊事に使用したと見られる土器などが出ていてこれが役所の“厨”と見られてます、玉製巡方もここから。

 建物が向きがそろっていてこの厨とは別の建物やその周辺からは硯や銅製巡方などの遺物も見つかってます。他には幅12メートル、長さ23メートル、高さ約30センチの盛土状遺構も確認されているそうです。

 さらに『和同開珎』『万年通宝』といった古銭もあったそうです。このような古銭は非常に流通量が少ないのでかつてこの場所が中央と非常に密接なつながりがあった証左ともいえますね。


 さて、実はこういった国府の跡というのははっきりと場所がわかってるようでそうではないことが多いです。「府中」の地名が残っているところでも現在の県の中心部と違っていることがあるように千年以上も前からその地域の中心であり続けるというのはまれであるからですね。

 国府跡、官衙跡という発掘ニュースは弥生や縄文といった考古学でもメジャーどころに比べると聞き流してしまいがちですが注目してみると面白いですよ。あんなところがこの辺の中心地だったんだ〜と古代に思いをはせてみてはいかがでしょうか?


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