木製仮面出土と染色技術
2007年10月9日掲載
遺跡
纒向遺跡
所在地
奈良県桜井市
時期
3世紀前半
たびたび大きな発見があって著名な遺跡である、奈良県桜井市の纒向(まきむく)遺跡から珍しい木製仮面が検出されました。
この仮面は素掘り井戸の穴から検出されたもので、長さ26センチ、幅21.5センチ、厚さ0.6センチ。アカガシで作られた木製の鍬の転用と見られ、口の部分の穴はその柄が付いていた部分であると想定されてます。両目が開けられ、赤い顔料が塗布されており、紐穴がないことから手で持ったのかもしれないそうです。
またこの井戸からは赤と黒の二色で彩られた盾と思しき木製品の破片、鎌の柄と思しき木製品も出たとのことです。
そしてこの遺跡からはこの大ニュースに引き続いてベニバナ花粉も検出されました。
酸化第二鉄(ベンガラ)や水銀朱といった顔料が使用されていたのはよく知られているのですが染料の原料となるベニバナの栽培の可能性がここまでさかのぼったのはこれもまた非常にセンセーショナルなニュースですね。
纒向遺跡は3〜4世紀の大規模集落遺跡で今回と同じように祭祀に用いたと思われる木製品を埋めた穴が多数見つかってます。時代が魏志倭人伝(魏書東夷伝倭人条)に記された卑弥呼の時代に相当し、箸墓古墳をはじめとする最古級古墳が周囲に点在していることから非常に注目されている遺跡です。今現在は大神神社のでっかい鳥居のふもとに広がるのどかな田園地帯ですね。
ちなみに木製仮面としては最古級の出土例だそうで、というか仮面の出土例そのものが弥生〜古墳時代ではなかったとのことです。余談ですが土製仮面だと千歳市ママチ遺跡出土の例があります。ちなみに重要文化財で時期は縄文時代晩期。またベニバナのところでちょっと触れた水銀朱はこの遺跡に程近いホケノ山古墳からも検出されてます。