考古学レポート2 旧石器時代と呪われし奥義「神の手」

担当:大黒屋介左衛門

4.旧石器時代の終焉

 数万年前シベリアの大草原で愉快に暮らしていたマンモスたち、時折人間たちに襲われることはあるものの、まあ平和に暮らしていました。しかし彼らに試練のときがやってきます。突然世は大寒冷化時代を向かえ、草原は草一本はえない不毛の地となり泣く泣くその地を去ることとなります。そうしてやって来た日本若干広さに不満はあるものの、まあ住めなくも無く以前と同様のんびりと暮らし始めます、うるさい人間たちもついてきたけど。

 しかし彼らに更なる試練が訪れます。今度は温暖化が始まり彼らの暮らす草原は海に消え、残った土地も森に姿を変えてきます。再び旅に出ようにも来た道は海に寸断され日本に閉じ込められしまいました。こんな非常時にも人間どもは相変わらず襲ってきます。憐れマンモスたち大型哺乳類は絶滅と相成りました。

 さて人間のほうはといいますと、温暖化が始まってからこの方マンモスのようなでかくて、のろまな獲物が減ってきて代わりにすばしっこい今までより小さな鹿(旧石器時代の鹿はオオツノジカのように大きかった)などの動物が増えてきました。おまけに平地が減ってうっそうとした森がでこぼこの土地に広がり、今までのやり方では獲物が取れなくなりました。さあ大変です、家には腹をすかせた子供や母ちゃんが待ってます。でも今日も収穫ゼロ。父ちゃんピンチ。

 そこでみんなを集めてどこかの首相よろしく構造改革に打って出ました。まず、いままでの道具は獲物にかなり近づかなくてはなりませんでした。そこで今までの細石刃の技術を応用して『』を考案しました。これなら今までより遠くから獲物を狙えます。でもまだ食べ物が足りません。

 そうだ!森に腐るほどある木の実を食料にしよう。
 でも木の実にはあくがあってそのままでは食べられたものではありません。こうなったら煮てでも焼いてでも水にさらしてでも食ってやるということで革命的道具『土器』が考案されました。こうして旧石器時代はおわりを告げ新たな時代『縄文時代』が始まったのです。およそ1万3千年ほど前のことといわれています。

5.黒曜石の産地白滝遺跡群

 ここでは旧石器時代の代表的遺跡白滝遺跡群について説明をしたいと思います。
 数年前なら確認されている最古の旧石器遺跡について述べたでしょうが、いったん白紙に戻り再び研究が進められている以上、最古のとかいうのよりは旧石器時代から後の縄文時代、さらにその後の時代と重要拠点であり続けたこの遺跡がふさわしいと考えました。

 さてこの白滝遺跡群場所は大雪山系の山すそ北海道紋別郡白滝村にあります。このあたりは黒曜石の産地できっと大昔はもっと有名だったでしょうね。黒曜石というのは溶岩が冷えて固まってできたガラス質の岩石で衝撃を加えると薄く鋭くはがれる特質から石器の原材として多いに用いられました。このあたりから産出される黒曜石は不純物が少なく特に良質で北海道だけでなく海を越えて流通しました。赤い縞模様の入った尖頭器の写真見たことあるかもしれませんがここ産です。原料の輸出だけでなく加工も行われたらしく遺跡からは多くの接合資料が見つかっています。国内には黒曜石の産地としては箱根、神津島ほか長野県などにも産地があります。

6.あとがき

 旧石器時代をざっとこんな風にまとめましたが、すいませんはしょりすぎです。もっとわかっていることはいっぱいあるのに私の力不足でこんなになってしまいました。言い訳させていただけますと私の在学中例の事件が明るみに出て、大学の講義は旧石器時代のあたりは軒並み変更を余儀なくされ、あまり詳しくやっていないのです。次の縄文時代はもうちょっと詳しくやりたいと思います。さてタイトルとなった奥義『神の手』ですが、この禁断の技が永遠に封印されることを願ってやみません。

参考文献
日本考古学事典 三省堂 佐原真ほか 2002.5
NHKスペシャル日本人はるかなる旅1 NHKスペシャル『日本人』プロジェクト 
NHK出版 2001.8
発掘された日本列島2003 文化庁 朝日新聞社 2003.6
日本の古代遺跡40北海道T 野村崇 保育社 S63.10
棒
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