第9回 ニュートンと錬金術
担当:裏辺金好(乱心したか!ついにニュートンに手を出した!)錬金術
なお、錬金術はこの後、実験を重視し、新たな化合物や化学反応、法則を発見したフランスのラボアジエなどの科学的なグループと、あくまで神秘性を追求する怪しげなグループに分かれ、現在は錬金術と言えば後者を想像してしまうため、特に錬金術に対する偏見が強いのだろう。ちなみにラボアジエは質量保存の法則(燃焼前と燃焼後でも質量は変わらない)というもので、科学の教科書でお目にかかる。また、ガレノス自身は多くの動物を解剖し、身体の各部の筋肉が、脊髄のそれぞれ異なる部分で制御されていることを明らかにしている。
付記しておくが中世ヨーロッパまでの、今から見れば、変な科学観を植え付けてしまったのはアリストテレスである。例えば古代ギリシャでは、今で言う原子の原型のような考え方と、土・空気・水・火を四大元素とする考えたがあった。ところが、原子の存在を証明するためには、真空状態を作り出さなければいけなかったらしい(よくは解らないが)。
アリストテレスは元素派で、これを非常に体系的に解りやすくのべ、これが社会の常識となった。もっとも、ヨーロッパではローマ帝国滅亡後は大混乱状態で、アリストテレスなどのギリシャ思想は中世になって、アラブを経由して伝わってくる。
私の考えでは、今と違い実験器具も未発達であった当時。非常に体系的に整理されたアリストテレスの考えに批判を入れる余地はなく、またキリスト教的自然観とも結びついた。そのため、後世、この常識を覆すのに多大な努力を強いられたのある。
この様な長い前置き、しかしながら不十分極まりない前置きを於いた上で、いよいよニュートンへと話は進む。