宇宙の構造(2)星の誕生と一生

○水素とヘリウムの海から星が生まれる

 前回見たとおり、ビックバンから約38万年後に原子が誕生します。
 それ以前、つまり原子核だった頃はプラスの属性を持っていたため、原子核どうしが反発してしまい、それどうしがドッキングすることはなかったのですが、電子を取り込み原子となったとき、電気的に中性となりました。この結果、反発することがなくなったのです。そして、次第に重力のある場所へ集まり始めます。

 最初に出来た原子は、元素表で一番最初にあることでおなじみ、水素とヘリウム。これらは、それぞれガスとして宇宙の様々な場所に分布していました。場所によって濃度は様々ですが、濃いところにガスが集まり始めました。この、濃いガスの海のことを星間分子雲といいます。

 そして、この星間分子雲が収縮することによって星が誕生するのですが、その過程を簡単に書くとこうなります。
 (1)星間分子雲の中に、濃密な部分(コア)が出来る。ここが星が誕生する場所になります。
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 (2)コアの中心に、分子ガスの円盤を持つ原子星が誕生。ガスは絶えず中心部に流れ込む。
 
 ちなみに、原子星は厚いガスと塵の雲で取り囲まれ、普通の光(可視光)で原始星を直接みることはできません。ただし、電波や赤外線の一部はこの雲を通り抜けるため、赤外線観測で観測することは可能です。さて続きまして。
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 (3)原子星の中心から、ガスが噴出し始める(分子ジェット)。
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 (4)分子ジェットが周囲のチリを吹き飛ばし、周りから物質が流れ込まなくなる。
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 (5)原始星は平衡状態になり、その後はゆっくりと収縮する。収縮の際に若干の熱を放出し、光輝きます。

 (5)の状態になると、いよいよ星は可視光で観測することが出来ます。この状態をTタウリ型星といいます。

○主系列星の一生

  こうして誕生した星は、やがて中央で核融合反応を開始し、一人前の星、すなわち主系列星となります。太陽を想像していただけるとわかりやすいと思います。そして、星の大部分を占める水素を核融合反応によってヘリウムに変えていくのですが、水素を使い終わると、その星の一生が終わることになります。

 その期間は太陽の場合は100億年ぐらいと推定されています。

 さて、まずは中央部分の水素が消費されていくのですが、次第にそれより外側で核融合反応が始まります。そして、核融合反応によって星の外側は膨張していき、赤色巨星という大きな赤い星に変化していきます。

 さあ、ここからが2パターンあります。
 まず太陽の場合(同じぐらいの大きさの星もですが)、地球を飲み込むほど大きくなった後、さらに星の外側のガスが秒速10〜30kmの速さで宇宙空間に流れ出します。流れ出たガスは、惑星状星雲というガス雲を形成します。一方、残った星の本体は、エネルギーを失って縮み、白色矮星という小さな星に変わります。この白色矮星、もちろん白っぽい星なのですが、その中心部は重力によって収縮しており、非常に高温です。

 一方、太陽よりも4〜12倍ほど質量が大きい星の場合は、赤色巨星になったあと、自分の重力によって星がつぶれてしまいます。このとき、超新星爆発を起こし、散り散りになります。この際、鉄よりも重い各元素が生成され、ほかの元素と共に宇宙にばら撒かれるのです。皆さん大好きな金(とっても重い)が、世の中に少ないのはこのときしか作られないからってわけですね。

 超新星爆発の後、多くの星は白色矮星になります。大型の恒星になると、その後に中性子星ブラックホールを残すものもあります。じゃああ、ブラックホールになった後、どうなるのか?・・・については、よくわかっていません。

○褐色矮星の一生

 他方で、そもそも主系列星とならずに褐色矮星(かっしょくわいせい)となるものもあります。これは、小さな太陽をイメージしていただけると分かり易いのですが、軽水素による核融合反応が起こらず、重水素による核融合反応が(存在比率が小さいので)短期間起こった後、じわじわとエネルギーを使い果たし、光り輝かなくなり、次第に消えていきます。

 ちなみに分類上、褐色矮星は恒星にも惑星でもありません。

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