実験用中型放送衛星「ゆり」(BS)
○打ち上げ&運用期間データ
打ち上げ日時:1978(昭和53)年4月8日 7時01分(日本標準時)打ち上げ場所:アメリカ合衆国 ケネディ宇宙センター
打ち上げロケット:デルタ2914型ロケット140号機
運用停止年月日:1982(昭和57)年1月
○大きさ・形状等
質量:約350kg大きさ:130cm×130cm×300cm
形状:箱型(展開型太陽電池パドル搭載)
○解説
「ゆり」は、日本における衛星放送の技術的条件を確立することを目的とし、衛星放送システムの制御・運用技術の実験、衛星からの電波の受信効果を確認する実験などを行うために打ち上げられました。1978(昭和53)年7月20日より、当時の郵政省電波研究所を中心とした衛星放送の各種実験が実施され成果を挙げますが、燃料が枯渇したことから1982(昭和57)年1月に運用を終了しました。ここで得られた成果を元に、1984(昭和59)年1月23日に放送衛星「ゆり2号a」が、続けて1986(昭和61)年2月12日に「ゆり2号b」が打ち上げられ、1989(平成元)年6月1日より、NHKによる衛星放送(BS放送)の本放送が開始されました。これにより、従来の放送が見づらかった難視聴エリアでも鮮明に映像が提供できるようになりました。
さらに後継機として、1990(平成2)年8月28日に「ゆり3号a」が、1991(平成3)年8月25日に「ゆり3号b」が種子島から打ち上げられ、2チャンネルから3チャンネルに拡大。超寿命化や国産技術の大幅採用が行われ、放送サービスを継続するとともに、ハイビジョン放送の試験等も実施しています。
こうして日本の衛星放送は進歩し、現在のBSデジタル放送や、様々な民放も含めた多チャンネルの衛星放送につながっています。