合唱曲を聴く上で、知っているとより理解が深まる用語というのがいくつかあります。ここでは、その代表例について記しておこうと思いますので、ぜひご一読をお願いします。
(執筆:U-lineのA *一部、裏辺金好)
日本放送協会(NHK)主催の「NHK全国学校音楽コンクール」の略称。
学生のみの全国規模の合唱コンクールで、小学校の部、中学校の部、高等学校の部が開催されている。
まず都府県地区コンクール(その前に予選がある場合もある。また、東京は東西。北海道は地区ごと)で金賞(原則1校)となると、各ブロックごとの大会に進出し、そこで金賞(原則1校)となると、10月の全国コンクール出場となる。
なお、全国コンクールはNHK教育(Eテレ)で全国に生放送されている。
(都府県地区およびブロックコンクールはラジオ、テレビの地域放送で録画放送、Webで生中継されている場合がある。)
課題曲が課せられており、曲は毎年作詞家・作曲家に書き下ろしの形態をとっている。近年は有名アーティストが作詞、作曲に携わることもある。
U-lineのA的には放送があり、さらに学生向けのためか、どことなくイベント的な雰囲気があり、課題曲の雰囲気も軽い感じがあり、あまり好きではありませんが、合唱初心者には一番親しみやすく、近年NHKも放送や告知に力を入れており、気軽に合唱に触れられると思います。
合唱団の全国的組織である全日本合唱連盟と朝日新聞社が主催する、Nコンと並ぶ全国規模のコンクール。その下位大会と合わせて「連盟」や「朝コン」の通称がある。
まず都道府県コンクール(さらに予選があることも。また、北海道は地域ごと)で上位に入り推薦されると各地域ごとの大会(東京は都コンクールのみのみ)に進出し、そこで推薦されると10月の全日本コンクール出場となる。
なお、演奏音源は大会会場で購入できる場合もあるほか、毎年全国大会の音源がCDで発売されている。
中学校の部(同声・混声)と高校の部(A部門:32人以下・B部門:33人以上)と大学の部(A・B)、一般の部(A・B)が設けられ、高校の部以上には、課題曲が課せられる。
U-lineのA的にはNコンと比べると大学・一般部門があり、課題曲が様々なジャンルから指定されていることもあって、課題曲も合唱団の特性に合った様々な曲が聴け、飽きなくていいと思います。
しかし一般にはあまり知られていない(様な気がする。朝日新聞の夏の高校野球・吹奏楽と並ぶ主催事業なのですが…)のでちょっと親しみにくいかもしれません。
大会にあたり、主催者側から課せられる曲のこと。 ここでは主に合唱の2大大会について解説します。
Nコンでは毎年作詞家(或いは詩人)・作曲家に依頼した書き下ろし曲を部門ごとに1曲(希に2曲)用意し、それぞれ小学校は同声2部、中学校は混声3部と女声3部(女声版を男声で歌うケースも希にあるらしい)、高等学校の部は混声が4部となり、男声4部が追加となる。
基本的にピアノ伴奏があり(希に無伴奏)、ターゲットが学生故、曲調はどちらかと言うと若者向きで、近年は著名人が作詞作曲に関わるケースが見られる。
特に中学校の部は2006年の「虹」(森山直太朗)、2007年「手紙」(アンジェラ・アキ)以降、そういった傾向が強くなり、近年は単にJ-POPの合唱編曲版といった傾向がある。
連盟では高校の部以上に課題曲があり、毎年全日本合唱連盟が出版する「合唱名曲シリーズ」のその年の収録曲から選ぶことになっている。
混声・女声・男声それぞれに4曲ずつ割り振られ、うち2曲は外国語、他が日本語となっており、ルネッサンス調のミサ曲から現代的な曲、日本語はじめラテン語、ドイツ語、イタリア語、フランス語etc...、ピアノ伴奏の有無、まで合唱団の構成、特性、方針に合った様々なジャンル、難易度から選択可能である。
歌い手は歌える音程の高さによって、複数のグループに分かれることになり、当然歌う譜面もパートごとに異なるものが用意されます。代表的なものとして、以下のものがあげらます。
(女声の場合)
高い 低い
Soprano(ソプラノ)>Mezzo-soprano(メゾソプラノ)>Alto(アルト)
(男声の場合)
高い 低い
Tenor(テナー)>Baritone(バリトン)>Bass(ベース)
詳しく見てみましょう。
・Soprano(ソプラノ)
女声で最も高音を担当するパート。
混声・女声のどちらでも主旋律は大抵彼女らに持って行かれます(笑)
まったくうらやましい限りですが、高音が多い故、かなり苦労が多いようです。
・Mezzo-soprano(メゾソプラノ)
略して「メゾ」と呼ばれることが多いですね。 女声合唱では中音域を担当します。
・Alto(アルト)
女声で低音を担当するパート。女声合唱では低音域、混声合唱では中音域を担当します。
Sopranoばかりに注目しているあなた!Altoの低音もまた、格好いいものですよ。
・Tenor(テナー/テノール)
男声の高音担当。
男声合唱では高音域、混声合唱では中音域を担当です。特に男声合唱では時々突拍子もなく高い声を出しています…ああ、BassのU-lineのAには到底手の届かないところです…。ちなみに、かつての所長はテナー(セカンド)を担当していました。
・Baritone(バリトン)
男声合唱で中音域を担当です。…すみません、なんか書くことがありません(泣)
・Bass(ベース/バス)
混声・男声の最低音担当。 私U-lineのAはこのパートに配属されています。
地味なお仕事が多いパートですが、低音は基礎となるため意外と難し…(以下略)
男声と女声で構成される合唱で、SopranoとAlto、男声の3パートで構成されるもの。
主に、変声期の中学生〜高校生向けの曲に多い。
先ほどの混声3部の男声をTenorとBassに分け、全4パートとしたもの。
大半の混声合唱はこのタイプ。 当然難易度は3部より上ですが、重厚感では4部に勝るものなし!
女声のみの合唱で、Soprano、Mezzo-soprano、Altoの3パートからなるもの。
女声合唱は殆どこの構成です。
男声のみの合唱で、Tenor(ファースト)、Tenor(セカンド)、Baritone、Bassの4パートからなるもの。
ごく希にTenorが一つにまとまるときもありますが、基本このタイプが多いです。
変声期前の小学生向け合唱や、男声合唱、女声合唱どちらでも歌える曲に見られる形態です。
児童向けは2部構成、他は3〜4部で構成されることが多いです。
いわゆる「斉唱」。別パートが同じ旋律を歌うことを言います。
合唱なのに何でときどきユニゾンがあったりするの?という方もいると思いますが、ユニゾンがある場所は一体感が必要な部分(核となる言葉)に用いられる傾向があるようです。
この他、混声3部を4部にするなどの他の版へのアレンジの都合でユニゾンになっているケースもあります。
フランス語に由来する言葉で、母音で歌詞をつけずに「A_」や「O_」、「U_」で歌うこと。
○ソロ(Solo)・ソリ(Soli) (+ソロパート)
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寝台列車の一人用個室の名称でもおなじみ(笑)
ソロはいわゆる独唱。ソリはそれを2人程度でやることを言います。 この他、あるパートから1〜2人程度抜けて、全く別の旋律を歌う際にも使われます。
決まれば非常に格好いいものの、失敗すれば非常に格好悪い、大変重要な部分です。
なお、この曲解説では「ソロパート」という言葉を使用することがありますが、これはある特定のパートのみが歌い、他が休んでいる状態を指す、筆者の表現です。
音楽、特に西洋音楽には各種長音階やら短音階やら色々な調があるわけですが…
難しいことは置いといて…(説明放棄)。 とにかく、一つの曲の中で、調が変化することを指します。
曲を盛り上げたり、雰囲気を変えるときに使用されます。
義務教育で習っているため、ご存じの方も多いと思いますが、これを分からないと後の説明がトンチンカンになってしまうので、忘れてしまった人のために。
・フォルティッシッシモ(fff)…よりより強く
・フォルティッシモ(ff)…より強く
・フォルテ(f)…強く
・メゾフォルテ(mf)…ややつよく
・メゾピアノ(mp)…やや弱く
・ピアノ(p)…弱く
・ピアニッシモ(pp)…より弱く
・ピアニッシッシモ(ppp)…よりより弱く
演奏の音量をフォルテから突然ピアノまで落とすこと。言葉で説明しづらいのですが、例えば「Ah」というヴォカリーズについていたとすると、「あっぁぁぁ・・・」といった具合になります。
基本形はこれですが、まれに「mfp」や「sfzp」などの派生版もあります。(強弱以外の基本イメージは同じです。)
ついている音をそこだけ特に強調する場合につく記号です。
フェルマータ(fermata)はイタリア語で停止を意味し、音符を譜面より任意の長さで長くすること。
ちなみにイタリアではバス停という意味もあるとか。
曲中で拍子(リズム)が変化すること。(例えば「3/8拍子」(タタタタタタ)→「2/4拍子」(タンタン))
曲に詩のフレーズを活かす場合(問答や語り)に使われる傾向があるような気がします。