カナダの現代音楽作曲家、レーモンド マリー シェーファー(1933〜)が1979年に作曲した合唱曲で、女声版と混声版があるようです。この曲はインドネシア・バリの民族音楽「ガムラン」に着想を得ており、エキゾチックで尚かつ眠くならない!な一曲です。
筆者は合唱団体が集まる演奏会にてとある高校の演奏(女声)を聞きましたが、これは面白い!と唸ってしまいましたね。
日本のTokyo Ledies'Consort "SAYAKA"による女声版の演奏。ゆっくり目な前半と高速で展開する後半との転換が激しく、格好いい!(途中で寝ても絶対目が覚めますよ…)
ちなみにこの合唱団の指揮は本コーナーでもおなじみ、松下 耕先生です。
(作曲だけでなく指揮者としても活躍されています。)
こちらはガムランの生まれた国、インドネシアのバンドン工科大学合唱団による混声版の演奏。
全体的に早め、強弱は少ない気がしますが大人数で響きがある明るく楽しげな演奏ですね。
シャープな女声版もいいですが、響きならTenorやBassが効いた混声版がオススメです。
(演奏方針含めてどっちも甲乙つけがたいなぁ…)
「さて、「ガムラン」とは何事ぞや?」という方のために解説。
ガムランというのはインドネシア、バリ島に古くより伝わる伝統音楽で様々な金属打楽器と太鼓を使用し、儀式、演劇などの際に演奏されます。
と、言うわけで、この曲は「打楽器を声で再現する」曲なのです!
当然歌詞があるわけないので、全て「ダン」「ディン」「ドン」などで表現されます。
曲のほうですが、初めの
「♪ドーン」を基本に次第に変化していく形をとります。
最初は単調な繰り返しですが、途中からリズムに遊びが入り、神秘的な世界を演出していきます。
そして途中
「♪ドンダンディンデュン…」で全パートの旋律が一体となるものの、すぐにバラバラになっていき高声部の
「♪ティントンテン」や低声の
「ダンディンドン…」が絡んできて、
「♪ドーン」で曲は終結…。
…と思いきや、
「♪ドドドド…」と激しくなって再登場!複雑怪奇なこの部分は見せ場ですな。で、これも
「♪ドーン」や
「♪ディンダーン」で収束させ、曲は終了です。
歌詞のない合唱曲としては以前にも「偽ヨイク」(ヤーコ マンテュヤルヴィ)を紹介していますが、あちらは意味が理解不能とはいえ「言葉」をベースにしているのに対し、こちらは楽器、しかも打楽器という何とも新鮮な曲です。(でも作曲は1979年なんですよね)
どう考えても声楽と打楽器は結びつきにくいですから、初めて聞いたときには「人間の声であんな事も出来るのか!」とびっくりした次第です。
今回この記事を書いている途中で混声版を発見してしまいましたので、いつかやってみたくなってしまいましたね。
でもBassは地味な仕事が多そうだなぁ(笑)