(12)マルチェッロ劇場と真実の口


さて、今度はヴィットーリオ・エマヌエーレ2世記念堂周辺から少し南に歩き、真実の口がある教会までご紹介。

 続いて到着したのが、マルチェッロ劇場(マルケルス劇場)。なんと紀元前10年ごろに完成したもので、カエサルが計画し、初代ローマ皇帝アウグストゥスによって建てられました。マルチェッロとは、夭逝したアウグストゥスの甥の名前で、ローマで2つ目の恒久劇場として建築されました。コロッセオの大先輩ですね。

 残念ながらコロッセオほどは保存状態は良くなく、4世紀にはテヴェレ川にかける橋のために石材を供出。さらに中世には砦になった他、15世紀にはオルシーニ家の館に組み込まれて現在の形に。本来は3層だったのですが、今は2層しかありません。

 ちなみに柱が特徴的で、一層はドーリア式、二層はイオニア式、そして失われた三層はコリント式だったそうです。円形の外周に、半円アーチが並ぶ雰囲気は今でもよく解り、コロッセオと並んで必見です。

 マルチェッロ劇場の直ぐ南にあるS.バルトロメオ教会。ガイドブックには名前しか載っていませんでしたが・・・。

 中に入るとこの美しさ。ローマの教会はどれも豪華です。

 こちらは戸籍庁。これと言って由緒ある建物ではないようですが、ガイドブックに名前が載っていたので何となく。

 さあ、もう少しで真実の口だ!と思ったところで、ジァーノ門という古代ローマ時代の門に出会います。これと言って説明書きはなく、手持ちのガイドブックや建築ガイドにも情報がなかったので、ネットで調べた情報で恐縮ですが、どうやら356年頃、ローマ皇帝のコンスタンティウス2世が、父のコンスタンティヌス大帝の名誉を讃えて建造させたものだそうです。

 背後の教会建築も実に趣がありますね。サン・ジョルジョ・イン・ヴェラブロ教会だそうです。

 そして、サンタ・マリア・イン・コスメディン教会に到着。細長い鐘楼が非常に特徴的なこの教会は、真実の口があることで非常に有名。そればかり注目されてしまいますが、建物自体も非常に古いもので、6世紀に建てられた後、8世紀に教皇ハドリアヌス1世によって増築。さらに、鐘楼が12世紀に増築されています。

 その後の教会が、真っ白だったり、装飾が細かかったりすることを考えると、随分と質素な雰囲気ですね。

 さて、こちらが真実の口。多くの人が並んで、口の中に手を突っ込んでいました。私としても、ちょいとやってみたいところではあるのですが、列に並んでいると何分かかるかわからないので、写真だけ。

 ちなみにこれ、手を口に入れると、偽りの心がある人間は、手を抜く時にその手首を切り落とされる・・・という伝説でお馴染みですが、古代の下水溝のマンホールという説が有力のようです。また、描かれているのは海神トリトーネの顔。

 で、皆さん真実の口にばかり注目されて、肝心の教会の内部には関心がないようですが、これまで見てきた絢爛豪華な教会とは一転して、非常にシックな装い。

 天井は木組みですからね。日本人にはこの方が寺のようで落ち着く!?

 ちなみに向かい側の建築にも貴重なものがありまして、こちらはヴェスタの神殿。紀元前2世紀後半に建てられたといわれ、ローマに現存する最古の大理石建築です。ヘラクレスに捧げられたものだとか。


 その北向かい側の小さな神殿も古いもので、これは紀元前2世紀に建てられたフォルトゥーナ・ヴィリリス神殿。港の神に捧げられたものです。

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