9.聖オーガスティン広場とその周辺

 続いてセナド広場から南へ、民政総署の裏手の坂道を登った場所にある石畳の聖オーガスティン広場は、人の数もまばらで、静かな雰囲気。
 ここは聖オーガスティン教会、ドン・ペデロ5世劇場、ロバート・ホー・トン図書館という3つの美しい洋風建築が立ち並ぶ風景が特徴で、大変感動しました。

聖オーガスティン広場
左は聖オーガスティン教会、ドン・ペデロ5世劇場。
聖オーガスティン教会
 起源は1586年にスペインの修道士が建てた教会。3年後にポルトガル人に引き渡され、1591年に現在地へ移転します。現在の建物は1874年に再建されたもので、新古典様式の立派な建築。建物上部の三角部分に、聖母と御子像が飾られているのがお分かりになるでしょうか?

 ちなみに、中央祭壇のそばには、十字架を背負った受難のキリスト像が祀られ、毎年一度、これを男性信者がかついでセナド広場に近くの大堂まで移動する宗教行事「パッソス聖体行列」が行われています。マカオでも特に著名なこの行事は、かつてキリスト像を聖オーガスティン教会から大堂に移動させた際、いつの間にか聖オーガスティン教会に戻っていたという奇跡に由来するものです。

聖オーガスティン教会内部

聖オーガスティン教会内部

ドン・ペデロ5世劇場
 1860年、マカオ在住のポルトガル人のコミュニティ「マカオ・クラブ」が開設した娯楽施設。マカオ・クラブは東洋初の男性専用社交クラブで、彼らはここでオペラやオーケストラの演奏公演も催していました。建物はネオクラシック様式で、正面のイオニア式の円柱が特徴。なお、ドン・ペテロ5世とは当時のポルトガル国王の名前です。
ドン・ペデロ5世劇場
 別角度から撮影。こうやってみると、洋風建築としては珍しい、少し独特の色彩の建築ですね。また、側面の半円アーチが続く景観は見事なものです。

聖オーガスティン広場

聖オーガスティン教会

ロバート・ホー・トン図書館
 1894年より前にポルトガル人ドナ・キャロリーナ・クンハの住居として建てられたもの。これを香港の大富豪ロバート・ホー・トン(何東)卿が1918年に購入して別荘として使用。1955年に彼が亡くなると、建物はもちろん、明・清時代の貴重な文物も寄付され、1958年より図書館として公開されました。それでは、ここからさらに南へ下っていきます。

聖ジョセフ聖堂
 1728年にイエズス会の修道院として建てられたのが発祥で、1758年に上写真の聖堂が併設されて現在に至ります。聖堂はバロック様式で、建物上部の三角部分(ペディメント)にはイエズス会の紋章が掲げられ、そして建物両脇には赤いブロック屋根の塔があります。

聖ジョセフ聖堂内部

聖ジョセフ聖堂内部

聖ジョセフ聖堂内部

聖ローレンス教会
 1569年頃にイエズス会によって建立された、マカオ初期の教会の1つ。当初は木造でしたが、1846年にマカオ生まれのポルトガル人ホセ・トーマス・アキノの設計によって、現在の石造りの荘厳な教会になりました。こちらも両脇に塔を配していますが、うち1つにはキリスト教の教義に反したものを投獄されていたとか・・・。

聖ローレンス教会内部