(4)京義線で北朝鮮国境、都羅展望台&南侵第3トンネルへ




 昌徳宮(チャンドックン)と韓国野球を堪能した翌日、相変わらず「何度も韓国へ行っている」ムスタファ氏と、「韓国初訪問」のワタクシ(=所長)との間で、どこへ行くかで散々揉めておりましたが(笑)、最終的に私の希望を押し通す形で、北朝鮮との国境地帯であるDMZ(非武装中立地帯)の都羅山(ドラサン)と臨津閣(イムジンカク)へ向かうことになりました。どうも、スミマセン・・・。

 希望を押し通しておきながら、切符の手配やら国境地帯見学の手続きなど全てムスタファ氏に任せっきりという所長。今にして思えばとんでもない野郎でございますが、お蔭様で良い勉強になりました。

 なお、ちょっと我々の行き先について解説しておきますと、1950年に北朝鮮が韓国への侵攻をきっかけに始まった朝鮮戦争が休戦したのが1953年。このときの協定によって北緯38度線で両国の国境線(正しくは分断線、もしくは軍事分界線)が決定したのですが、このときに韓国側、北朝鮮側の両側2kmずつが非武装エリアとされました。これを、DMZ(非武装中立地帯)といいます。そして、DMZ内の軍事分界線上にある板門店に会談場が設置されました。さらに、板門店の周囲は両国が共同で警備するJSA(共同警備区域)とされ(1976年のポプラ事件以後、北朝鮮はJSAを認めていない)、さらに韓国ではDMZのさらに南側に、一般人が勝手に入れない民間人出入統制線(民統線)区域を設定しています。

 今回我々が訪問した都羅山(ドラサン)は、板門店の南に位置し、軍事分界線より少しだけ東側にあり、行くためにはちょっとした手続きが必要です。展望台からは当然、北朝鮮が見えるわけで、見学を喜ぶ観光客(私もその1人ですが)、規律は厳しいはずなのですが、どうも緊張感が足りない韓国軍の目の前に、いつどのような情勢で暴発するかわからない北朝鮮という国があるのでした。

 一方、臨津閣(イムジンカク)は都羅山とは臨津江という川を挟んだ向かい側にある場所で、こちらは民統線の外側にあるため、一般人も気軽に訪問することが出来ます。位置関係は下図の通り。






宿周辺
 宿から地下鉄の駅へ裏路地のような雰囲気の場所を歩いてみました。


ソウル市内
 既に撮影済(&紹介済)ですが、改めて撮影。

ソウル駅(旧駅舎)
 既に撮影済(&紹介済)ですが、改めて撮影。

ソウル駅(新駅舎)
 同じくこちらも紹介済。では、列車に乗るべく駅へ入っていきます。ちなみに、朝食はロッテリアの「韓牛」バーガーをテイクアウト。本当は駅の食堂で食べる予定たったのですが
 私「列車の出発まで時間無いですよ。」
 ムスタファ「大丈夫だよ、ギリギリ間に合うよ」
 私「それでは心配です。ファーストフードをテイクアウトするほうが安心です。」
 ・・・と、こういうときだけ押し切る所長でした。

ソウル駅内部(改札口)


ソウル駅内部

ホーム全景
 非常に広々としたホーム。どうして日本では、商業施設に上空を圧迫する一方で、こういう広々としたホームを造ろうとしないのでしょう。

KTX
 乗車するわけではなく、単純に撮影。日本だろうが韓国だろうが、所長はホーム先端に走る走る・・・。

京義線「通勤列車」(9501系ディーゼルカー)
 国境地帯である都羅山に向けて、まず我々が乗った列車。京義線は韓国鉄道公社(KORAIL)が運営する路線で、元々は日本がソウル(当時は京城)と、中国と北朝鮮国境の新義州を結ぶ路線として建設したことから、京城の「京」と新義州の「義」を取って京義線と名づけられました(1908年全通)。

京義線沿線の風景
 現在の京義線は、1時間に1本「通勤列車」(以前の統一号 *トンイルと読みます)と呼ばれるディーゼルカーによる各駅停車が運転されるローカル線。しかし、御覧の通りソウル一極集中の韓国では、京義線沿線も次々と高層マンションが建設されて人口急増中。そのため、ようやく通勤路線として一部区間が広域電鉄化されることになり、電化と複線化などが急ピッチで進んでいます。

京義線沿線の風景
 そうは言ってもソウルを出発して北のほうへ進んでいくと、さすがに田園地帯となっていきます。

車内の様子
 

臨津江(イムジンガン)駅
 京義線はこの一駅先、都羅山駅まで一般人が行くことは可能ですが、北朝鮮とのDMZ(非武装中立地帯/いわゆる38度線)内に入ることになるため、この先へいく場合はいったん途中下車しなくてはなりません。

臨津江(イムジンガン)駅
 そして駅前の改札でパスポートを提示した上で、DMZ(非武装中立地帯)ツアーを申込むことになります。なお、人数制限があるので要注意。

臨津江(イムジンガン)駅
 こちらは都羅山駅へ行くための専用改札口がある駅舎。ここでボディチェック、手荷物検査、38度線ツアー参加者かどうかを確認されたうえで、次の列車に乗ることになります。

セマウル号
 僅か一駅ですが、ここからセマウル号に乗車することになりました。

セマウル号車内
 リニューアルされたようで、明るく快適な雰囲気。

沿線の風景
 朝鮮戦争以前に使われていた旧線の橋脚。

都羅山(ドラサン)駅
 一般客には現在の終点である都羅山駅へ到着。

都羅山駅
 2002年に開業した都羅山駅。北朝鮮との融和政策を韓国が一方的に進めているためか、紛争地域の国境に位置する駅とは思えないほど、その設備は韓国の意気込みが伝わってきます。

都羅山(トラサン)駅
 例えばホームは既にのこ通り整備され、北朝鮮との旅客直通運転に備えています。ホーム上の駅名標は、既に北朝鮮側の開城(ケソン)駅を隣駅として表示。もっとも、正式な京義線の隣駅は北朝鮮側のDMZ内にあるパンムン駅で、開城駅は都羅山駅から4駅隣です。

都羅展望台
 都羅山駅からツアーバスで都羅展望台へ。さすがに見学時間は短めなので、あまりじっくり堪能することは出来ませんが、ここからDMZを見ることが出来ます。 さて、その展望台からの風景がこちら。
塀の少し内側から撮影しないといけないので、展望カメラなどが入ってしまい、綺麗には撮影できませんが・・・。






臨津江。左側が韓国、右側が北朝鮮です。もっとも、写真に映っているのは全部韓国かも。





南侵第3トンネル
 続いてバスは、南侵第3トンネルへ。これは、北朝鮮が韓国に極秘裏に潜入できるように掘っていたトンネルを、韓国が1978年に発見したもの。トロッコ列車に乗って見学に行くことが出来ます。なお、内部の写真撮影は不可。

南侵第3トンネル
 こちらはDMZ関連の展示施設。

南侵第3トンネル
 解説板から内部の雰囲気をどうぞ。ちなみに、内部は岩が黒くなっている部分があるのですが、これは北朝鮮があらかじめ、「石炭試掘しています」と言い訳するためにやった、子供だましのカモフラージュだとか。

南侵第3トンネル
 軍事分界線のあたりでコンクリートによってトンネルが塞がれているため、現在は北朝鮮へこのトンネルで行くことは出来ませんし、また北朝鮮側がどうなっているかは不明です。

セマウル号
 さて、再びセマウル号に乗って臨津江駅へ戻ります。

沿線の風景
 臨津江に残る旧路線の橋脚。


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