FS 低床客車(Vicinale Piano Ribassato)


ローマ・テルミニ駅に停車中の低床客車。(撮影:裏辺金好)

●基本データ

デビュー年:1965年(運用開始は1967年)
保有会社:FS(トレニタリア)
最高牽引速度:140 km/h

●解説

 この客車の正式名称は「Carrozza Vicinale Piano Ribassato」であり、直訳すると「低床隣接客車」となるが、この車両図鑑では「低床客車」と表記する。  見かけによらずこの低床客車は1967年に営業運転を開始し、FSの古参である。欧州ではよく見られる低いホームに合わせてドアと中央座席部分を低くし、台車のスペースを確保するために車端の座席は通常の高さに設定した。これによりホームからドアへの段差は50mmに縮まり、今でこそ当たり前なバリアフリーを簡易的に実現した。制御車付の客車もこの低床客車が初めてで、導入された当時は革命的な客車だった。

 1982年までに合計で1076両が製造され、そのうち175両が制御車として造られた。制御車の顔は元々無骨な食パン形だったが、現在はE.464を模した顔に造りかえられている。  現在は地方のローカル線や都市圏の各駅停車として活躍しているが、さすがに古いのでリニューアルされた車両以外は全て近いうちに廃車となる予定だ。それにこの客車、古いだけでなく床下に機器を積めないため非冷房なのだ(FS保有車両の中で他に非冷房なのはALn668型とALe724型のみ)。夏季のイタリア南部の鈍行客車列車は地獄と化すらしい・・・。
(解説:秩父路号)

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