HST〜イギリス〜


○解説

1970年、日本では東海道新幹線がすでに開通していて、フランスではTGVの開発が進んでいました。そんな中、老朽化した車両の置き換えや、鉄道の需要も高まってきたこともあって、イギリスも高速鉄道の必要性が高くなっていました。

 しかし資金が限られているイギリス国鉄にとっては高速新線や本線電化などは高価過ぎて手が出しづらい・・・でも高速鉄道は必要。ということで開発が決定したのが「HST」。「HST」とは「High Speed Train」の意味で英語で「高速列車」です。
 
 結果的に完成した列車は大ヒットで、大西本線や東海岸本線などの全国の非電化主要本線に投入され、前世代のディーゼル機関車を素早く置き換えていきました。実はこの「HST」、ディーゼル車の世界記録保持者で、1987年に238km/hを記録している。
 
 「HST」の編成は 43型機関車+Mk.III客車+43型機関車となっている。43型機関車は列車の先頭と後方についているディーゼル機関車のことで、Mk.III客車は中間に連結されている客車のこと。運用会社によって違いますが、6〜9両連結されている。動力集中方式のため、客車内の振動・騒音は低く、快適です。
 
 ちなみに「InterCity 125」は当時の国鉄の「HST」のブランド名でした。「125」とは125mphの意味で、約200km/hに相当します。デビューしてから30年たっても鉄道会社に根強い人気があり、いまだに国鉄民営化後の複数の鉄道会社が運用しています。しかしやはり年代物なので、最近リニューアル工事を受けて、外装、内装、エンジンも新しく取り替えられています(上写真は非リニューアル編成)。

 ちなみに、海外にも「HST」をベースにした「XPT」がオーストラリアで走っています。(写真:ロンドン・パディントン駅/本文:撮影:秩父路号様)

●ギャラリー

旧GNER社のHST。ロンドンと北スコットランドを7時間かけて結んでいました。
GNER社を置き換えたNXEC社の塗装のHST。GNER社と同じく、スコットランド方面を結んでいます。
Grand Central社のHST。ロンドンとイギリスの北東を結んでいます。
この会社が使う編成は特別なもので、バッファーと連結器が露出しています。
新しくリニューアルされたNXEC社のMkIII客車。
旧ミッドランド・メインライン社のHST。ロンドンとイギリス中部を結んでいます。
ファースト・グレイト・ウェスターン社のHST。FGW社はHSTの所有者No.1。
イングランド西部、南ウェールズへの速達列車として使われています。
同じくFGW社のHST。これらは最近リニューアルされた編成。

FGW社のMk.III客車(非リニューアル。以下の車内も同じ)。
一等車。2+1配置で固定式。スライド式ですがリクライニングします。
二等車。2+2配置で同じく固定式、非リクライニング。
ビュッフェカー。軽食や飲み物、おつまみなどを買うことができます。一部の編成の除き、編成の中ほどに設置されています。
こちらは旧GNER社のレストランカー。特定の列車では本格的な食事が満喫できます。
営業していないときは普通の一等車として使用。
HSTの客車のドアは手動で、駅に着いたら窓を開けて外から開けなければいけません。
ヨークの国立鉄道博物館に静態保存されているHSTの試作車。

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