第109回 バーコードの意味(2)本・雑誌編

●はじめに

 第106回で、一般的な商品に付けられているバーコード(JANコード)の意味を御紹介しましたが、この他にもバーコードはいくつかの種類があります。

 今回は、その中でも見かけることの多い、本に付けられたバーコードの意味を紹介します。まず最初に書籍のバーコードを解説した後、最後にさらりと雑誌についても見てきます。ちなみにこの他、と言いましたが、他には郵便バーコード、2次元バーコード、学生証のバーコードや、カラオケで歌を選ぶときのバーコードなどがあります。

1.具体的に見ていく前に・・・

 それでは早速、書籍のバーコードを解説!っていきたいのですが、1つ前提となることを御紹介せねばなりません。
 それは、ISBNってものです。本のバーコードは、このISBNの識別をすることになります。

 じゃあ、これは何か。
 世の中には膨大な出版物がありまして、どの国の、何と言う出版者&タイトルの出版物であるかを特定でき、容易に検索できる基盤となる番号を決定するシステムがあると便利ですよね? そこで、世界全てに共通で使える「ISBN」(International Standard Book Number=国際標準図書番号)というのが制定されています。日本では、1981年からこの国際団体に加盟し、出版物へのISBNの記載を推進し、現在は全ての書籍に採用されています。

 さらに、わが国では「ISBN」の基本部分に加えて、「読者対象」「発行形態」「内容」を示す分類コードと本体価格を加えたコード体系を開発し「日本図書コード」として使用しておりまして、2種類方式があります。今から解説するバーコード方式を書籍JANコード、ISBN 4-8375-0451-5  C3041 \1300E と言うように数字とアルファベットのみで書かれたコードを、OCR−Bといいます。本の背表紙には、両方書かれていると思います。このような方式によって、現在のISBNコードの仕様では、約100億冊の本に番号が打てることになっています。

 このうち書籍JANコードは、 この前解説した、通常のJANコード体系とは異なります。1990年3月に財団法人流通システム開発センターと書籍業界が合意して制定されました。意外に新しいですね。

2.では、見ていきましょう


 はい、とある本のバーコードを抜き出してみました。
 とある本、ではいけませんね。
 清水義範著 はじめてわかる国語(講談社)という本です。

 さて、ご覧になっていただけると解りますが、本のバーコードは上下2段になっているのが特徴です。もちろん、きちんとした意味がありますので、番号順に1つずつ解説していきましょう。なお、当たり前ですが、赤線・青線や●印番号は私が勝手に付けた物です。

 まずは上段。
 @・・・978で書籍であることを表します。もちろん、漫画も同じです。
 A・・・ISBNのグループ番号。国を表し、日本は「4」です。国によっては複数桁になります。
     ちなみに、同じ番号を複数の国で使うこともあります。
     なお、例を挙げると0、1がオーストラリア・カナダ・イギリス・ニュージーランドなど英語圏。
     2が、ベルギー、カナダ、フランス、ルクセンブルク、スイスのうち、フランス語圏。
     3が、オーストリア、スイス、ドイツの、ドイツ語圏。
     4は、日本のみ。
 5は、アルメニア、ロシアなど。 7が中国、89が韓国、963がハンガリー、964がイランとなっています。
 アメリカが見あたらなかったのですが、違う方式を採用しているんでしょう。違っていたらご免なさい。

 B・・・出版社を表します。いくつか御紹介します。
00 岩波書店 08 集英社 16 文芸春秋
01 旺文社 09 小学館 253 秋田書店
02 朝日新聞社 10 新潮社 276 音楽之友社
03 偕成社 11 全音楽譜社 280 バンダイ
04 角川書店 12 中央公論社 324 ぎょうせい
05 学習研究社 13 東京大学出版会 342 桐原書店
06 講談社 14 NHK出版 7973 ソフトバンク
07 主婦の友社 15 早川書房 8341 真宗大谷派
宗務所出版部
*バンダイは、バンダイミュージックエンターテイメントのこと。
*別に私は真言宗の信者ではありません。ウケ狙ってみましたが・・ウケた?

C・・・書名を表します。
D・・バーコードのチェック数字。これについては、第106回を参照。@〜Cの数字を足したり引いたりして出される数です。

下段に行きます。
 E・・・2段目であると表します。
 F・・・ISBNの分類コード。
 G・・・定価。この本の場合1700円。
 H・・・これも、バーコードのチェック数字。今回はE〜Gの数字を足したり引いたりして出される数です。

 で、この黒棒のバーコードが数字にどう対応しているかについても第106回を見て下さい。
 もしかしたら方式が違っているかもしれませんが、面倒なので省略します。

 ぜひ、さっそく家の本を引っ張り出してバーコードを見てみましょう〜。

3.では、自分の出版社を登録するには?

 ところで、これは前回やらなかった話ですが、例えば裏辺研究所が出版物を同人ではなく、きちんとした販売ルートに載せて出したいと思います。
 日本図書コードや書籍JANコードを付けなくても、別にどこからも罰則は来ませんが、本を置いてもらう書店がバーコード読み取りが出来なくて不便で、結果として流通に乗らないことがほとんどです。また、市販しなくても図書館に置いてもらおうとすると、ここでもISBNの分類コードを活用していますから、あまりいい顔されません。

 そこで、当然裏辺研究所出版局としては、自分の出版局を登録したいと思いますね。
 そのためには、日本図書コード管理センターに申請をしないと行けません。ネット上で申込用紙が頂けます。
 必要事項を記入の上、しかるべき手数料を払わないといけません。

4.雑誌

 さて最後。雑誌はまた別のコードなんです。
 共通雑誌コードと言われ、トーハンが管理しております。
 これは、膨大な種類の雑誌を機械で識別するために、月刊誌か週刊誌かといった区分や発行月、号数、定価等必要最低限の情報を一定の規則に基づいて13桁のコードで表現したものです。実際読み取るのはもちろんバーコードですが、それを表す数字の方を解説します。

 私が愛読する雑誌「鉄道ジャーナル」を例にとりますと・・・。
識別コード/ 雑誌コード/ 月・号/ 価格/ チェック数字
  T11     06551   01   098   3
まず、T11で雑誌であることを示します。
次に、雑誌コードの一番最初の、この場合は「0」。
 0、1・・・月刊誌   2、3・・・週刊誌
 4、5 ・・・コミック    6・・・:ムック
 7・・・:ビデオ・カセット類   8 ・・・取協不扱い誌   9 :予備・臨時コード
 月・号はその名の通り。今回の場合は1月号です。
 価格の方は、098だったら、980円を示します。10円単位で定価を表すのです。1000円だったら、100。

 ってなわけで、バーコードの特集、如何でしたでしょうか。バーコードじゃないじゃん、数字の解説じゃんとは言わないでね。

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