第111回 チーズの歴史と作り方
担当:裏辺金好
前回に引き続き乳製品ネタ。今回は、チーズの話です。
ちなみに、ひつじの胃で作った革袋にヤギの乳を入れて旅にでたアラビアの商人が、砂漠でのどがかわき、袋をあけたところ、ヤギの乳が白い固まりと液体になっていたという民話も残っています。さぞかしガッカリしたことでしょう。また、ゾロアスター教(歴史のコーナーを参照)の創始者ゾロアスターは、20年間チーズだけで生き、そのおかげで雄弁となりゾロアスター教を開けたという逸話まであります。恐るべしチーズ! 話ずれますが、仏教の方はお釈迦様が断食で衰弱していたところ、スジャータという若い娘がヨーグルトを与え、これを食べたら健康が回復し、明けの明星で悟りを開いたとか。 乳製品をバカにする事なかれ。 で、このチーズ。古代ギリシャでは神への捧げものや、食されていたそうです。 ホメロスの叙事詩「オデユッセイア」には「チーズ」という単語が出ていまして、既にこの頃には食用にされていたと考えられています。また、古代エジプトの女王クレオパトラもチーズを好み、果物と共によく食べていたとか。美貌の秘訣は、チーズを食べてカルシウムを摂取し、細胞が生き生きとした艶のあるお肌にあったのかも? もっとも、チーズも前回紹介したバターと共に薬用が基本であり、普及にはまだ時間がかかります。結局、ヨーロッパを代表する食材になるのは、バターと同様中世以降となりました。その後は、一般家庭でも作るほどヨーロッパ文化に根を下ろすことになります。現在、フランスでは昔からの伝統的なチーズ作りを行っているチーズをAOC(原産地統制名称制度)チーズとして認定し、ブランドと伝統を守っています。 ちなみに、フランク王国のカール大帝は青カビチーズが大好物。 フランスのナポレオン1世は、カマンベール村のチーズを大変気に入り、その後これは、カマンベールチーズとしてメジャーになったと言われています。 日本では、似たような乳製品は前回で御紹介しましたが、チーズの本格的な利用は、1875(明治8)年に、北海道で製造され、さらに15年が経って、1900年に売りだされてから。実はまだ、100年ちょいしか食べられていない新しい食品というか、いつの間にか100年も食べられているというか・・・。ただし、実際に日本人がチーズを当たり前のように食べるようになったのは、ピザなどが流行するようになった昭和40年後半〜昭和50年ぐらいからだとか。
しかし大別すると、 ・ナチュラルチーズ 種類ごとにいろいろな乳酸菌やカビがチーズの中で生きて活躍。 それぞれに味や香りが違って「食べ頃」がある。 ・プロセスチーズ いろいろなナチュラルチーズを混合し、熱処理をしてあるので、 味が安定していて、保存もきく。 となります。プロセスチーズの方は比較的歴史が浅いとか。 なお、プロセスチーズ100gをつくるのに、1000mlの牛乳が使われるため、栄養価は非常に豊富! 特に、カルシウムは、牛乳の約6〜7倍含まれ、さらにチーズのカルシウムはとても体に吸収しやすいそうです。カルシウム不足にお悩みに人は是非食べましょう。 また、一口にチーズと言っても中に含まれている脂肪分が異なり(原料が全乳であるか、あるいは脱脂乳、半脱脂乳、強化乳かで変わる) ・脱脂乳チーズの乳脂肪分は、0.5%以下 ・チェダー、ゴーダ、カマンベールなど、標準的なチーズの脂肪分は45〜50%、 ・クリームチーズ(2〜3倍のクリームを添加)の乳脂肪は60〜75% となっています。 さらに、 ・超硬質チーズ 水分35%以下で熟成期間も長い (パルミジャーノ、ロマノなど) ・硬質チーズ 水分35〜40%(チェダー、エメンタールなど) ・半硬質チーズ 水分40〜50%(ロックフォール、リンブルガーなど) *このうち、カビによって熟成したモノは青カビチーズ。 ・軟質チーズ 水分35〜40%(カマンベール、カテージなど) *白カビによって熟成したモノは白カビチーズ。また、そもそも熟成させないフレッシュチーズなど。 *また、特記以外は細菌によって熟成。 などなど・・・。う〜ん、細かく分類すると大変なことになりますね。分類方法も様々です。
1.「クラリファイヤー」という機械で、牛乳をすごい勢いで回転させて、小さなゴミをとばしてキレイにする。 *森永乳業の場合 2.殺菌 3.冷却 4.牛乳に乳酸菌を加える 5.凝乳酵素を加えて静かに置く。すると、タンパク質(カゼイン)が固まり、豆腐のようになる。 そこで、チーズバットの中のかくはん機の歯を回転させてカット! そして固まったものをカード、液体になったものをホエーといいます。 6.ホエーを分離し、カードだけをチーズマシンに運ぶ。 7.チーズマシンでカードをスティック状にカットし、塩分を加える。 8.次に型に詰めて圧力をかけ、残ったホエーを抜いて、とりあえず完成(ここまでだと、基本的にナチュラルチーズ)。 9.検査 10.今度は、他のチーズとの混合を開始(この工程があるから、プロセスチーズ)。 粉砕器で砕き、混合機で混ぜ合わせる。 11.加熱し融合。 12.完成。あとは、製品の種類によってカットの形を変え、梱包して出荷! ということで、前回と合わせてお楽しみ頂けたでしょうか。 それでは! 参考文献・ホームページ モノの世界史 宮崎正勝著 原書房 つい誰かに話したくなる雑学の本 マイクロソフト エンカルタ百科事典2004 森永乳業株式会社 バーチャル工場 http://www.morinagamilk.co.jp/product/menu0301.html 雪印乳業 チーズクラブ 全国乳業協同組合 http://group.lin.go.jp/jf-milk/ 楽天市場 小岩井からの贈り物 http://www.rakuten.co.jp/makibaya/463934/ |