第138回 髪の毛を中心とした「毛」の話
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○伸び放題の髪を見て考えた |
多すぎると厄介、ところが少なくなると焦ってくるのが髪の毛。
現時点の私の髪の毛は、非常に本数が多く、あっという間に伸びやがり、そして毎朝それはもう酷い寝癖となって私に襲いかかってくるわけですが、これが今度はいつ大量の抜け毛となって私の頭皮から去るのかと思うと怖いですなあ。ところで、そもそも髪の毛ってどんな成分で出来ているんでしょう? さらに、アジア系の黒い髪に対し、いわゆる金髪とか赤毛とか、異人さん(笑)の髪は違っていることがありますが、これってどういう違いから生じるものなんでしょう?
・・・てなわけで、今回は髪の毛を中心に「毛」について色々と調べてみました。
○髪の毛の構造とは? |
まず最初に、髪の毛の構造からご説明しましょう。まあ、他の毛もほぼ共通ですが・・・。
さて、髪の毛って実は三層構造なんですね。
すなわち、中心に毛髄質(メデュラ)という、芯の役割をする部分があります。
その周りを、毛皮質(コルテックス)が取り囲んでいます。これは、ケラチンというタンパク質性の角質が集まったものです。後述しますが、この毛皮質で髪の毛の色や質が決定されます。そして、その表面を覆うのが毛表皮(キューティクル)。読んで字のごとく、髪の毛の皮と解釈していただいて構いません。ですから、この皮によって髪の毛がツルツルだったり、バリバリだったりと、非常に大きな影響があります。
○それでは、どのように生えるんですか? |
まず、皮膚の内部にあるもの部分を毛根、皮膚から突きでた部分を毛幹といいます。
この毛根部のうち、毛包の根本にある球状に膨らんでいる部分(=毛球)のさらに最下層である、毛乳頭の毛母という組織にある毛母細胞で細胞分裂が始まると、毛の歴史がスタート!! 分裂した一方は、毛細血管が入り組んだ毛乳頭から栄養を受け取り、さらにどんどん細胞分裂と成長を繰り返し、新しい細胞が古い細胞を押し上げていくんですね。
これが、毛が伸びるメカニズムなのです。
そして、毛の成長も次第に止まり(髪の毛の場合、男性は約3〜5年、女性は4〜6年)、毛根の細胞が衰えて細胞分裂が行われなくなります。そうすると次第に抜け始めて、我々の頭皮等の皮膚からさようなら。しかし、運がよければ最初の分裂の際に毛根部にとどまった毛母細胞が細胞分裂を開始。すると、また同じ仕組みで次の毛が発生し、細胞分裂が次々と行われる・・・ということになります。
なお、毛根同士には何の関係もなく、それぞれの毛根が独立して活動を行っています。
また、毛を切ったからといって、成長が早くなることはありません。
ところで、そもそも「毛」って、どうして必要なのでしょうか?
それは、我々の皮膚を直接外気に触れさせないようにするためです。例えば、髪の毛は紫外線や暑さ、寒さから頭を守りますし、鼻毛は体内にホコリや細菌が入るのを防いでいます。
○続いて髪の毛の基本データ |
1 髪の毛はいつから生えてくるんですか?
実は、胎児の段階から生えてくるそうです。
2 髪の毛はどのぐらいの太さなんですか?
人種によって異なりますが、0.05mm〜0.12mmぐらいです。
3 髪の毛の断面ってどんな形ですか?
主に3種類あります。
A 円筒型の髪・・・我々モンゴロイド系に多く見られます。あまり膨らまず、ストレートなのが特徴です。
B 楕円型の髪・・・ヨーロッパ、コーカサス系の人々に多く見られます。細く波打ち、ややカールしています。
C 扁平型の髪・・・アフリカ系の人に多い髪。断面が平らで、逆毛だって膨らみ縮んでいます。
また、脂質が一定ではないのでゴワゴワしています。ちなみに、伸びるのは非常に遅いです。
4 髪の毛の色に違いがあるのは?
髪の毛の色は、毛乳頭(正確には毛母細胞)で作られ、毛皮質に内包されていく、2種類のメラニンという色素の量や性質によって決まります。
2種類とは、ユーメラニン(茶色ないし黒色)とフェアメラニン(黄色かオレンジがかった赤色)のこと。
よって、そもそものメラニンの量と、さらに2種類の配合量によって髪の色が変わります。
というわけで、毛乳頭でメラニンが作られなくなると、白髪になっていきます。
ちなみに、色は主に6つのグループに分かれます。
ブロンド、粟色、褐色、黒色、赤色、白色です。
ところで、白髪に光が当たるとキラキラと光ることがあります。
これは、メラニンがあった場所が空白地帯となり、ここに入った空気が光を反射させるからだそうです。
なお、皮膚の色もこのメラニンによって決定されます。
5 髪の毛は腐るのですか?
ミイラに髪の毛が残っていることから解るように、髪の毛は腐りにくいです。
6 一ヶ月でどれぐらい伸びますか?
個人差や人種によって異なりますけど、我々の場合は1ヶ月に1cmぐらい伸びるそうです。ということは、仮に5年間伸び続けたとしましょう。1年間で12cmですから、5年ともなると60cmとなるわけです。しかも日本人なら、約10万本は生えているという髪の毛。中には、まだまだ伸びる元気な髪もありますので、さらに・・・となります。
7 一日にどれぐらい抜けますか?
だいたい、1日に50本から100本は抜けていくそうです。
・・・ということは、1日100本もグッバイするなら、1ヶ月で3000本。1年間で3万6000本もグッバイすることになります。どうりで、床によく髪の毛が落ちているわけです。ともあれ、少々の抜け毛は心配する必要はありません!!
ただし、少なくとも頭の血行が悪いと栄養が毛母細胞へいきわたらなくなりますし、毛穴が脂などで詰まっていたりすると、どんどん髪の毛は薄くなり、終いには生えてこなくなります。ハゲの原因は遺伝とか、年齢的なものとか色々ありますが、最低限、頭のマッサージと正しいシャンプーの使い方など、頭皮の手入れに用心を。
[参考資料]
図説「毛全書」 マルタン・モネスティエ著 大塚宏子訳 原書房
マイクロソフト エンカルタ百科事典2004
全図解 からだのしくみ辞典 安藤幸夫監修 日本実業出版社
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