AEDと心肺蘇生法

担当:こうちゃん


1.はじめに

 最近、駅や公共施設など色々なところで見かけるようになったAED
 名前や設置場所を知っているだけでは勿体無い。そもそもAEDとは何か?ということを知り、そして使い方を知っておくことが重要です。 いざという時はいつ来るかわかりません。折角設置されているのですから、いつでも使えるように日ごろから気をつけましょう・・・というわけで、今回はAEDと、AEDが無い場合の救急法を特集します。

2.AEDについて

 AEDはAutomated External Defibrillatorの略で、日本語にすると自動体外式除細動器。学校などで設置されているものは基本的には医療のドラマやドキュメントなどで使用されているものと同一です。機器の概要ですが、心臓が痙攣(けいれん)して、血液を流すポンプのような機能が失われた状態(心室細動)になる致死性不整脈の場合に、その心臓に電気ショックを与えることによって、痙攣を取り除き(除細動)再び正常なリズムに戻すものです。
 ですから、心臓自体は正常に動いている場合、逆に完全に停止した心臓には効果がありません。

 心室細動に陥ったときには、AEDに限らず電気ショックが唯一の治療方法ですが、このAEDは2004年7月から医療従事者ではない一般市民が使用できるようになったため、数多く設置されるようになっています。操作方法を音声ガイドしてくれるのが特徴なので、必要なときには慌てず、落ち着いてガイドに従い使用しましょう。

 ちなみに、救急車が到着するまでの平均時間は6分程度です。しかし、電気ショックの成功率は成功の可能性が1分ごとに7〜10%低下するといわれ、さらにカーラーの救命曲線によると、心臓停止3分で50%が死亡すると言われています。つまり、迅速にしなければならないということです。
 *石川県津幡町-カーラーの救命曲線 http://www.town.tsubata.ishikawa.jp/shobou/99/q02-01.html

3.人が倒れてた!どうしたらいいの?

 いきなりAEDで全てを終わらせようとするのではなく、自動車教習所などで一度は勉強する心肺蘇生法も併せて活用することが大切です。なかなか、いざその時に思い出すのは難しいですが、それでも頭の片隅には覚えておきたいもの。では、順番に見て行きましょう。

 周囲の状況を確認・・・これは特に重要です。助けようとした人が事故に巻き込まれてはいけません。
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 傷病者の肩を軽く叩きながら傷病者に呼びかける・・・意識があるかどうかを確認します。意識があった場合は必要な手当てだけでOKです。
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 助けを呼ぶ・・・傷病者の意識がない場合、できるだけ自分以外の人に119番通報をしてもらいましょう。やむをえない場合は仕方がないのですが、出来るだけ他の人に任せて迅速に次の作業をするのがいいです。
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 気道の確保・・・片手を額に当て、もう一方の手の人差し指と中指の2本であご先に当て、持ち上げます。これで呼吸が出来るようになります。これは意識がなくなると筋肉が弛緩して気道をふさいでしまうからです。(これを舌根沈下といいます)
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 呼吸のチェック・・・気道を確保した状態で顔を傷病者の胸に向けながら頬を口の付近に近づけ、10秒程度確認します。目は胸が上下するかどうか、頬は呼吸がないかチェックします。
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 人工呼吸・・・呼吸が全く感じられなかった場合は気道を確保したまま、自分の口で傷病者の口を覆い、鼻をつまみながら500〜800mlほど2回吹き込みます。そのあと、目で胸の動きを確認します。このとき、鼻をつまみ忘れると鼻から空気が漏れてしまうので全く効果がありません。口同士が触れるのが嫌な場合はハンカチや人工呼吸用のマスク(市販されてます)で覆ってもOK。
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 循環のサインを確認・・・人工呼吸が終わったら、傷病者が咳や呼吸を始めたかなどをチェックします。これも10秒程度チェックします。
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 心臓マッサージ・・・循環のサインがない場合、服を脱がして(または破って)以下の図のところへ手を持っていき、マッサージをします。なお、圧迫部位は正確に・・・。これを誤ると胸骨が骨折し、内臓を傷つける恐れがあります。ちなみに、回数は1分間に100回。なお、テレビドラマなどではひじを曲げてたり、斜めに圧迫してたりしてますが、間違いです。

 AED・・・AEDが目の前にある&届いた場合は、心臓マッサージを継続した上で使ってください。AEDのパッドをパッドに書いてある図のように胸部などに貼るとAEDが自動で心電図をチェックし、電流を流すかどうかを判断します。ただ、チェック中及び電気ショック中は傷病者に触れないように!

 その結果、AEDが除細動を加える必要があると判断すると、「電気ショックが必要です」など音声メッセージが流れ、自動的に充電が始まり、数秒後に完了します。すると「除細動ボタン(ショックボタン)を押してください。」とメッセージが出ますので、なるべくほかの人は遠ざけた上で、ボタンを押しましょう。

 逆に、もしAEDが「電気ショックは必要ありません」とメッセージを音声などで出した場合は、循環サインの有無の確認をしましょう。なお、さらに具体的なAEDの使い方については
 日本赤十字ホームページ:一次救命処置-AED(自動体外式除細動器)を用いた除細動-
 のページを御覧ください。

4.応急手当の実施による法的な責任や感染対策

 まず、一般市民が善意で実施した応急手当で重大な落ち度や悪意がなければその結果の責任は法的に問われないことになってます。(総務庁長官官房交通安全対策室「交通事故現場における市民による応急手当促進方策委員会報告書」:平成6年3月)

 また、救急隊の協力要請に基づき救命手当を行った際に怪我をしたり、何らかの病気に感染した場合は一定の要件の元で保証が受けられます。(消防法による救急業務に協力したものへの災害補償制度。警察官の職務に協力援助した者に対する災害給付制度)

 ここではAEDの使い方や救急法を掲載しました。ただし、AEDの使い方や救急法は変わってしまうこともあるので、出来れば講習会(消防署や各市町村、ボーイスカウトなどの団体が行っています)に参加し、正しい救急法を教わった方がいいです。最初に言いましたが、何が急に起こるかわかりません。ボーイスカウトのモットー、「そなえよつねに」です。

 ・[改訂版]応急手当講習テキスト(東京法令出版)
 ・日本光電:AED(自動体外式除細動器)とは http://www.nihonkohden.co.jp/aed/
 ・wikipedia-AED
 ・wikipedia-心肺蘇生法
 ・日本赤十字社-献血・ボランティア・義援金-救急手当/心臓マッサージ  
 http://www.jrc.or.jp/safety/kinkyu/massage.html
 ・石川県津幡町-カーラーの救命曲線 http://www.town.tsubata.ishikawa.jp/shobou/99/q02-01.html

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