第16回 魚の身の色の違い〜赤身・白身は何故?〜

担当:裏辺金好

○その食事、ちょっと待ったぁ!
 おお、今日の夕食は刺身。いただきまーす。
 ん、考えてみれば、マグロは赤身なのに、タイやヒラメは白身。刺身の色が違うのは、なんでだろう。

 ねえ、皆さんは考えたことありますか?。そしてちゃんと答えられますでしょうか。身近なところにこういった疑問は結構あるもの。いや、私もこの赤身と白身の違いをつい最近やっと知りました。

 この赤とか白というのは魚の筋肉の色なのです。結論から言うと、マグロのように遠くまで泳ぐ魚は赤い。そしてタイのように近海を泳ぐ魚は白いのです。

 じゃあ、赤や白という色はどうやって付いた色なのか、と申しますと、遠海まで泳ぐ魚は持久力重視の筋肉がつき、その筋肉はスピードよりエネルギー効率を追求したものになっています。そのため。運動に必要な糖分・グルコースとの反応に、酸素を多量に使うのですが、この酸素は筋肉中のミオグロビンというタンパク質、正確に言うとその中の「ヘム」という鉄入り色素に結合してやってきます。実は、こやつが赤いため、赤身になるわけです。なお、この筋肉のことを「遅筋」と言います。酸素を取り込みのに時間がかかるからです。

 ところが、近海を泳ぐ魚は獲物を追いかけるときや、逆に追われるときに「瞬発力」を必要としています。この時必要なのは、取り込むのに時間のかかる酸素ではなく、効率が悪かろうが、手っ取り早くグルコースを乳酸に変え、エネルギーとすることです。ゆえに、色が付かず、白いのです。この筋肉を「速筋」と言います。

 なお、この筋肉の違いは何も魚に限ったことではありません。人間や動物も同じです。瞬発力がある者と持久力重視の者の筋肉の色の違いは想像に難くないと思います。

棒