日本鋼管で建造され、南極観測が海上保安庁から海上自衛隊にバトンタッチしたため、この「ふじ」は海上自衛隊の砕氷船として誕生しました。全長100m、幅
22m、深さ11.8m、最大速力17ノット。厚さ80cmまでの海氷を連続砕氷可能という性能で、定員は200人+南極観測隊員35名、ヘリコプターを3機搭載することができます。また、毎年500t
の物資を運搬しました。
初代「しらせ」に道を譲って退役後は、1985(昭和60)年から名古屋市のガーデンふ頭に保存展示されています。
ちなみに、「ふじ」の近くには南極観測に従事した陸上車両も展示されています。
3代目日本の南極観測船となった「初代しらせ」。やはり海上自衛隊の砕氷艦で、日本鋼管鶴見で建造。
全長134m、幅28m、深さ14・5m、速力19ノットと、「ふじ」より大型化。自衛艦としても最大級の艦艇であり、厚さ1.5mの海氷を3ノットの速度で連続砕氷することができる高性能。。定員は170名+南極観測隊員60名で、ヘリコプターは「ふじ」同様に3機搭載でき、物資は毎年1000t
運搬するという、「ふじ」の2倍の量です。
「しらせ」就役により、氷中に南極観測船が閉じ込められ、昭和基地の近くで足止めを喰らい、海外の船に救助を求めるようなことがほぼ無くなり、接岸できなかったのは1度だけ。逆にオーストラリアの船舶を2度救出しています。
なお、白瀬の名称の由来は公式には昭和基地に近い「白瀬氷河」とされていますが、実際には日本人として初の南極探検をおこなった白瀬矗(しらせるい)陸軍中尉に由来しているといわれています(ただし原則として船名は名所旧跡の名とされています)。まあ、白瀬氷河が白瀬中尉に由来してますので、どっちにしろ同じ・・・ですが。
さて、長らく活躍してきた初代「しらせ」でしたが2008年に引退。保存先が模索され、名乗り出たところもありましたが、文部科学省は首を縦に振らずに解体が決定されます。様々な事情があったのでしょうが、これまでの2つの南極観測船が保存されているだけに、何とも残念な話です。
4.南極観測船「2代目しらせ」(2009年〜 /第51次観測) *予定
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そして4代目となる南極観測船は、公募の結果「しらせ」の名称を引き継ぐことに。
全長138m、幅28m、深さ15.9mと、初代「しらせ」より少しだけ大型に。速力は15ノットです。また、定員も179名+南極観測隊員80名と、特に観測隊員が増員され、より多くの研究者を運べるようになります。
初代「しらせ」が建造された当時と異なり、現在は乗り物から排出される様々な環境汚染原因の物質について規制される状況下、この2代目「しらせ」は海洋汚染を防ぐステンレス外装とし、またフロンを使わず、一酸化炭素や窒素酸化物の排出も減少。さらに、船舶の中で出たゴミを分別の上で圧縮し、格納庫に入れて持ち帰れるようにしています。
また、これまでの砕氷と異なり、海水を放出し氷の上の雪をぬらし、氷を割りやすくして進みます。これにより、砕氷に伴う燃料を節約し、二酸化炭素の排出量も減少させます。ユニバーサル造船舞鶴事業所にて、2009年5月の完成だそうです。
なお、第50次南極観測には間に合わないため、オーストラリアから民間砕氷船オーロラ・オーストラリスをピンチヒッターで借りるそうです。
参考文献・ホームページ
マイクロソフトエンカルタ百科事典2007
独立行政法人 海上技術安全研究所「南極観測船しらせ」ってどんな船?
http://www.nmri.go.jp/ocean/jare47/shirase.html
名古屋海洋博物館 南極観測船「ふじ」
http://www.nagoyaaqua.jp/fuji/index.html
かがくナビ 「新しらせ」 環境にやさしい南極観測船
http://www.kagakunavi.jp/topic/show/109
ユニバーサル造船 ただいま新南極観測船(砕氷艦) 建造中!
http://www.u-zosen.co.jp/17agb/index.html
国立極地研究所 南極サイエンス基地
http://polaris.nipr.ac.jp/~academy/science/shirase/shirase01.html