ジャガイモってどんな野菜?
担当:裏辺金好
実は、ナス科ナス属の植物。世界各地で生産される大変ポピュラーな食材で、我々が食べるのは地下茎の部分。
原産は、ペルーのアンデス山脈の標高3000m〜4000mの高地といわれ、500年頃から栽培。インカ人たちの重要な食糧でした。16世紀に、インカを征服したスペイン人によりヨーロッパに伝えられ、当初は観賞用でしたが、次第に食用に。17世紀にはヨーロッパ全土に広がりました。
日本には1598年(1603年説も)、オランダ船によりジャワのジャガトラ港から長崎に入って初お目見え。 湊の名前から「ジャガタライモ」と呼ばれ、これがジャガイモの語源とされています。なお、異説として「ジャワ島の芋」の略、天保の大飢饉の際にジャガイモのおかげで多くの人が助かった「御助芋」が転じたというものがあります。
後に伝わったサツマイモと同じく、飢饉の際の代用作物として栽培され、明治時代になってからは、欧米から良質な品種が導入され、北海道や長崎などが主要な産地となっています。
ちなみに「馬鈴薯」(ばれいしょ)という別名もあります。漢名を輸入したという説や「マレーの芋」に由来するという説など諸説あります。
主成分はデンプンで重要なエネルギー源になります。
また、カリウムやビタミンCを多く含み、食物繊維の摂取に効果的です。
ジャガイモは皮層や芽、果実を中心に、ソラニン等の有毒なアルカロイド配糖体を含んでいます。このため、食用の際にはジャガイモから芽が出ている場合は、必ず取り除く必要があります。学校の家庭科の授業で習うと思いますが、忘れて調理しないように!
日本では男爵イモとメークインが2大品種で、作付面積の5割を超えます。ジャガイモ自体はこの他にも様々な品種があり、アンデス赤のように皮が赤色だったり、ジャガキッズパープルのように皮が青紫色のものも存在しています。
さて、男爵イモとメークインの特徴は次のとおりです。
(1)
男爵イモ
1908年に函館市郊外の農場主であった川田竜吉男爵が、イギリスから輸入したもの。名前の由来はこれに由来し、北海道を中心に広く栽培されるようになりました。なお、英名は「アイリッシュ・コブラー」(Irish
Cobbler=アイルランドの靴直し職人の意味」)です。
なお、デンプンが多くホクホクした食感が得られますが、煮くずれしやすいため、マッシュポテトやコロッケなど、潰して使う料理に向いています。
また、男爵イモを母親としてジャガイモシストセンチュウ抵抗性を付与し、開発されたのが
キタアカリです。こちらも潰して使う料理が向いています。
(2)
メークイン
英名の「May Queen」に由来しますが、品種名はメイクイーンではないことに注意。イギリス生まれの品種で、煮崩れしにくいため、カレーやシチュー、肉じゃがなどの煮物系の料理に向いています。形は男爵イモに比べて長く、凸凹していないのが特徴です。
この他には、こんな品種もあります。
(3)
ホッカイコガネ
イモの形が長楕円形で、中心空洞が無く、油加工で変色しにくいことから、フレンチフライ等の加工品種向け。ちなみにアメリカから輸入されるフレンチフライは、
ラセット・バーバンクというアメリカでメジャーな品種がメインです。
(4)
紅丸
でんぷん含有量が14.8%と多いため、でんぷん原料用に栽培。イモの形は卵型です。
(5)
トヨシロ
北海19号とエニワの交配種で、ポテトチップスの原料として生産。風味では男爵イモに劣るといわれますが、揚げると男爵イモに比べ色合いが良いのが特徴です。名前の由来は、収穫量が豊富で肉質が白いことから。